「現場はあるのに塗料が入ってこない」
「シンナー代が数倍に跳ね上がった」
最近、塗装業の皆様からこうした悲鳴に近いお声を伺う機会がありました。
中東情勢の緊迫化からくる原油高騰。とくに溶剤(シンナー)を多用する塗装屋さんにとって、今の状況はまさに死活問題です。
「すぐに使いたいのにモノがない」
「あっても高すぎるから資金繰りが大変」
こんな不安を抱えている方も多いと思います。
実はこのような事態を受け、2026年3月下旬から政府によるセーフティネット貸付の要件緩和・拡充が運用開始され、強力な資金繰り支援が利用可能です。
今回は、この厳しい状況を乗り切るための「今すぐ使える対策」を、専門用語を極力使わずに分かりやすくお伝えします。
目次
中東情勢が直撃する塗装屋さんの台所事情
シンナー・溶剤不足と価格高騰の実態
ご存知の通り、塗料やシンナーは原油価格の影響をダイレクトに受けます。中東情勢の悪化により、原油の供給不安が高まり、それが回り回って日本の塗装現場を直撃しているというワケです。
かつては安定していた仕入れ価格が乱高下し、見積もりを出した時の想定コストと、実際に現場が動く時の仕入れコストが大きくズレてしまう。これでは、仕事を受ければ受けるほど赤字になる「逆ざや」状態に陥ってしまいます。
納期遅延による入金ずれの負のスパイラル
さらに厄介なのが、材料不足による「工期の遅れ」です。
材料が入らないから工事が進まない。工事が終わらないから、元請けからの入金が予定通りに入ってこない。しかし、その間も職人さんの給料や社会保険料、機材のリース代といった固定費は、待ったなしで口座から引き落とされていきます。
売上は後ろにズレるのに、支払いは先に出ていく。この「キャッシュアウトの先行」が、黒字であっても会社を倒産に追い込む一番怖いポイントなのです。
【相談事例】案件ストップの危機
ここでは、最近とくに聞くことが増えている典型的なトラブルケースを2つご紹介します。決して他人事ではないはずです。
ケース1・現金先払いを迫られた一人親方
市川市内で独立して数年の一人親方からのご相談です。
普段は月末締めの翌月払いで材料を卸してくれていた問屋さんが、「今はモノがないから、現金先払いなら優先して在庫を回すよ」と条件を変えてきたそうです。現場を止めるわけにはいかないため、手元の運転資金を取り崩して材料を確保。しかし、その結果キャッシュが枯渇し、翌月の外注職人への支払いができなくなる一歩手前まで追い込まれてしまいました。
ケース2・元請けとの価格転嫁交渉の決裂
船橋市で数名の職人を抱える塗装会社様のケースです。
資材高騰分を元請けに価格転嫁(値上げのお願い)しようと交渉しましたが、「予算が決まっているから無理だ」と突っぱねられてしまいました。赤字覚悟で現場を終わらせようとしましたが、工期が遅れていたため応援の職人を追加で呼ばざるを得ず、外注費が大きく膨張。結果的に大きな損失を出し、次の現場へ向かうためのガソリン代すら不安になる状況に陥りました。
放置厳禁!対策を後回しにする致命的リスク
「なんとか気合いで乗り切ろう」
「来月になれば少しは良くなるかも」
そのお気持ちは痛いほど分かりますが、資金繰りの悪化を放置するのは絶対にNGです。後回しにすることで、以下のような取り返しのつかない事態を招きます。
元請け・施主からの信用失墜と指名停止
資金ショートにより、万が一現場がストップしてしまったらどうなるでしょうか。
単なる金銭的な損害賠償だけでなく、「あそこは資金繰りが危ない」「途中で現場を投げ出すかもしれない」というレッテルを貼られてしまいます。建設業界は横の繋がりが強いため、一度失った信用を取り戻すのは至難の業です。今後の元請けからの指名をパッタリと失うリスクに直結します。
税金・社保滞納による建設業許可への悪影響
お金が足りなくなると、どうしても税金や社会保険料の支払いを後回しにしてしまいがちです。
しかし、これは行政書士の視点から強く警告しておきたいのですが、法定福利費や税金の未納は、建設業許可の更新において致命傷になりかねません。
また、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録や、公共工事に参加するための経営事項審査(経審)でも非常に不利になります。事業の根幹を揺るがす事態になる前に手を打つ必要があります。
2026年4月最新!拡充されたセーフティネット貸付
ここからが解決策です。2026年(令和8年)4月1日より、中東情勢の影響を受ける事業者向けに、政府の「セーフティネット貸付」が大幅に拡充されました 。
売上減少5%未満でも対象になる柔軟な運用
これまで、こうした特別融資は「売上が5%以上落ちていないと使えない」といった厳しい条件がありました 。しかし今回の拡充では、中東情勢等により今後の影響が懸念される事業者であれば、売上減少などの数値要件を緩和し、資金繰りに支障が出ている実情があれば支援の対象となる柔軟な運用が始まっています。
金利0.4%引き下げと最大7.2億円の融資枠
さらに、原油高や中東情勢の影響を受け、売上高総利益率または売上高営業利益率が前期比で5%以上減少している場合、金利が0.4%引き下げられるという大きな優遇措置も用意されています。
融資の限度額も、中小企業事業で最大7億2,000万円、小規模事業者向けの国民生活事業でも7,200万円までと、非常に心強い枠が設定されています 。
政府から金融機関への柔軟な対応要請
「どうせうちみたいな小さな塗装屋は、銀行に行っても門前払いされるのでは……」 そう思われるかもしれません。しかし現在、政府から金融機関に対し「事業者に寄り添った支援の徹底」が強力に要請されています 。決算書の数字だけで機械的に判断するのではなく、事業者の実情に応じた柔軟な融資を行うよう求められているのです 。今こそ、動くべきタイミングです。
行政書士が教える今日からできるアクション
銀行へ行く前の資金繰り表による可視化
融資を引き出すための第一歩は、「いくら足りないのか」「いつまでにいくら必要なのか」をハッキリさせることです。頭の中だけで考えるのではなく、試算表や資金繰り表を最新の状態にアップデートしましょう。
数字が整理されているだけで、金融機関の担当者からの信頼度は劇的に上がります。書類作りが苦手な場合は、早めに専門家という「投資」をしてでも、正確な資料を用意することをおすすめします。
おわりに
塗装業は、建物というお客様の大切な資産を雨風から守り、寿命を延ばす素晴らしい仕事です。
今、中東情勢という外部要因によって苦しい状況に立たされていますが、使える制度はフルに活用して、この波を一緒に乗り越えましょう。資金繰りの不安を取り除き、再び「攻めの経営」を取り戻すための伴走者として、私はいつでも皆様のそばにいます。
【無料】一般的な制度に関するお問い合わせ
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