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念願の「法人化」!でも、その許可証をゴミ箱に捨てるのはちょっと待って!
社長、まずは会社設立、本当におめでとうございます!
個人事業主としてコツコツと実績を積み上げ、ついに「株式会社」や「合同会社」を背負って立つ。
これって、ものすごく誇らしいことですよね。取引先からの信頼も厚くなりますし、節税や社会保険の面でも、ビジネスを大きくするなら避けては通れない道です。
でも、ここで一つ大きな壁が立ちはだかります。それが「建設業許可」の扱いです。
「個人でも許可を持ってたんだから、法人になってもそのまま使えるでしょ?」
「いやいや、ネットで調べたら『取り直し』って書いてあったぞ。またあの膨大な書類を書くのか……」
そんな風に悩んでいませんか?
結論から言うと、事業承継認可の要件(承継先法人が許可要件を満たすこと等)をクリアできれば、「取り直し」(新規申請)ではなく許可を引き継げます。
かつては「個人」と「法人」は別人格だから、個人の許可は廃業とともに消滅し、法人は新人として新規申請する……という、なんとも融通の利かないルールでした。でも、今は「事業承継認可」という、もっと血の通った制度があるんです。
この記事では、あなたの会社がスムーズに、そして「許可が切れる空白期間」を作ることなく法人としてリスタートするための秘策をお伝えしますね。
かつての「取り直し」はもう古い?2020年から始まった「事業承継認可」の凄さ
「事業承継認可」という言葉、聞き慣れないかもしれませんが、これは2020年10月の建設業法改正で生まれた、比較的新しい制度なんです。
それ以前はどうだったかというと、これが結構シビアでした。
- 個人の建設業許可を廃止する届出を出す
- 新しく作った法人の名義で「新規申請」を出す
- 許可が下りるまで約1~2ヶ月、「無許可期間」が発生する
この「無許可期間」がクセモノで、その間は500万円以上の大きな工事を受注できません。せっかく法人化して勢いに乗りたい時期に、大きなチャンスを逃してしまうリスクがあったんです。
ところが、この「事業承継認可」を使えば、事前に申請して認可を受けておくことで、法人設立と同時に許可を引き継ぐことが可能になりました。
2026年現在では、この制度もすっかり定着しています。「せっかくの制度、使わない手はないよね」と、私たち行政書士の間でも、法人成りの際はまずこのルートを検討するのが鉄則になっています。
ここが最大のメリット!「空白の1日」を作らないための魔法のルール
この制度の最大のメリットは、なんといっても「許可の継続性」にあります。
許可番号がそのまま引き継げる
実はこれ、地味に嬉しいポイントなんです。名刺やトラック、看板に書いている許可番号。「第〇〇〇〇号」という数字が変わらないので、対外的なイメージも「ずっと続いてる会社なんだな」と安心感を与えられます。
工事実績(経審)が途切れない
公共工事への入札を考えている社長さんにとって、これは死活問題ですよね。 取り直し(新規申請)だと、個人の実績がうまく評価されない期間ができたり、経営事項審査(経審)で不利になったりすることがありました。しかし、事業承継認可なら「実績もセットで引き継ぐ」という形になるので、入札参加資格のランク維持も非常にスムーズ。これは大きな武器になります。
「無許可期間」のリスクがゼロ
先ほども触れましたが、認可を事前に受けておけば、法人登記が完了したその日から「許可業者」として堂々と振る舞えます。「今は切り替え中だから、その大きな工事は受けられないんですよ……」なんて、悔しい思いをする必要はありません。
【実務事例】実際にあった「こんなはずじゃなかった!」と「大成功」の分かれ道
ここで、私が実際に相談を受けたケースを2つご紹介しますね。
事例A 自分で進めて「無許可期間」を作ってしまった失敗談
とある内装業のB社長。気合十分で自分で法務局へ行き、まずは株式会社を設立しました。
「会社ができたから、さあ許可の切り替えだ!」と役所の窓口に行くと……。
「あ、社長。すでに法人登記を済ませてしまったんですね。事業承継の効力発生日前に認可申請ができていないので、承継認可は使えないですね。残念ながら新規申請が必要です。許可がおりるまでは無許可期間ですから、注意してくださいね」
と言われてガク然。予定していた大きな店舗改修の契約が目前に迫っていたのですが、結局その仕事は泣く泣く仲間に回すことになってしまいました。
承継の効力発生日前に法人登記を済ませてしまうと、承継認可を使いにくくなる典型例です。事前相談が鉄則です。
事例B 当事務所が並走し、シームレスに繋げた成功体験
一方で、土木工事を営むC社長。法人化の半年前に「そろそろ会社にしたい」とご相談くださいました。 私たちは、
- 会社設立の準備(定款作成など)
- 事前の事業承継認可申請
- 認可が下りるタイミングに合わせて法人設立登記
という、パズルのピースを合わせるようなスケジュールを組みました。 結果、C社長は1日の空白もなく「株式会社〇〇」として許可を維持。銀行の融資審査も「許可が途切れていない」ことが評価され、非常にスムーズに進みました。 「先生に任せておいてよかったよ!」という言葉、今でも忘れられません。
デジタル化とコンプライアンスの波を乗りこなす
2026年、建設業界を取り巻く環境はさらに進化しています。法人化の際に無視できないのが、この「最新トレンド」です。
建設業許可の電子申請が拡大中
数年前までは紙の書類を何十枚も綴じていましたが、今は「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」が導入され、電子申請も可能になっています。自治体により紙申請も併用可能。G-Biz ID取得が電子申請の前提です。
※法人化時は個人G-Biz IDから法人IDへの移行・紐付けも確認を。
社会保険加入チェックの「鉄壁化」
以前から厳しかったですが、2026年現在は「適切な保険に入っていない業者は、そもそも許可の土俵に上がれない」という運用が徹底されています。
個人事業主のときは「家族経営だから……」と免除されていた場合でも、法人になれば社長一人でも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務。このコストを計算に入れないと、後で「こんなはずじゃなかった!」と資金繰りに困ることになります。
24時間365日のコンプライアンス
働き方改革関連法の適用も定着し、時間外労働の管理も厳しく問われます。法人化して従業員を雇うなら、就業規則や36協定の整備も、許可維持の裏側で非常に重要視されるようになっています。
絶対に失敗したくない人へ。手続きを進める上での「3つの落とし穴」と注意点
「事業承継認可」は便利ですが、魔法ではありません。注意点も多いんです。
① 「経営業務の管理責任者(経管)」と「専任技術者」の要件
個人であなたが一人で両方をこなしていたなら、基本的には法人の役員になることでクリアできます。 ただし、法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の「役員」欄に、ちゃんとあなたが載っていることが大前提。さらに、常勤性を証明するために法人の健康保険証のコピーなどが必要になります。
② 法人の「資産要件」をクリアしているか?
一般建設業許可の場合、財産的基礎・金銭的信用の要件として、次のいずれかを満たす必要があります。
- 純資産500万円以上(貸借対照表等で証明)
- 500万円以上の資金調達能力(金融機関の借入約定書等)
- 直前5年間の継続営業実績
法人の資本金・預金残高証明で立証する場合もありますが、個人の実績を活用できる場合があるので、担当行政庁に事前確認を。
③ スケジュール管理が命!
これが一番のポイントです。 事業承継認可は「認可が下りてから、法人を設立(事業を譲渡)する」という流れになります。 もし認可が下りる前に法人を動かしてしまうと、それは「無許可営業」とみなされるリスクがあるんです。役所との事前相談を含め、数ヶ月スパンの余裕を持って動く必要があります。
「これから」を一緒に考えましょう
ここまでお読みいただき、ありがとうございます! 個人から法人への脱皮。それは、あなたのビジネスが一つ上のステージに上がる素晴らしい瞬間です。
「事業承継認可」という制度を使えば、大切に育ててきた建設業許可を、空白を作らず、実績を損なわず、誇りとともに次のステージへ持っていくことができます。
ただ、正直に申し上げます。この手続き、めちゃくちゃ複雑です。 会社設立のタイミング、役所との調整、資金計画、社会保険の整備……。これらすべてを社長が現場の合間にこなすのは、至難の業だと言わざるを得ません。
「まずはざっくり、自分の状況で何が必要か知りたい」という方は、当事務所の無料相談をご活用ください。一般的な手続きの流れや、制度の概要を丁寧にお伝えします。
もし、「うちの場合は資本金をどうすればいい?」「このスケジュールで間に合う?」「具体的な書類の書き方は?」といった、あなただけの本気の個別相談が必要な場合は、有料相談(30分4,000円〜)でじっくりと腰を据えて伺います。
失敗が許されない大切な「許可のバトン」。 私たち行政書士を、ぜひ頼もしいパートナーとして活用してくださいね。
次は、あなたの新しい会社の「許可証」を一緒に手にできる日を楽しみにしています!

