目次
- 1 第1章 市川市の建設業界トレンドと建設業許可の関係を俯瞰して押さえる
- 2 第2章 市川市の現場でよくある建設業許可と経営事項審査のつまずきパターンを知る
- 3 第3章 関連制度の基本と2026年前後の動きを整理する
- 4 第4章 現場を止めないために今からできる建設業許可と資金調達まわりの整え方を具体化する
- 5 第5章 市川市の建設会社がこれから一歩踏み出すための考え方と次の行動を整理する
第1章 市川市の建設業界トレンドと建設業許可の関係を俯瞰して押さえる
市川市の建設現場で起きている変化をざっくり整理
ここ数年、市川市の建設現場を見ていると、ゆるやかな変化が積み重なってきている感覚があります。
大型再開発のような派手さはなくても、住宅リフォーム、小規模な共同住宅、店舗改装、物流関連施設の工事など、細かい案件が絶えず動いている地域です。
一方で、現場を支える中小の建設会社や一人親方、職人さんの高齢化が進み、若い担い手は決して多くありません。
その中で、元請からの要請で「そろそろ建設業許可を取ってほしい」「経営事項審査を受けてほしい」と言われる機会が増えた、と感じている事業者も少なくないはずです。
市川市は東京都心へのアクセスが良く、千葉県内外の元請から声がかかりやすいエリアです。だからこそ、許可や経営事項審査の有無が、仕事の受け方にじわじわ影響してきています。
中小建設業者が感じている不安やモヤモヤ
とはいえ、日々の現場に追われていると、建設業許可や経営事項審査はどうしても後回しになりがちです。
頭の中には、こんなモヤモヤがたまっていないでしょうか。
- 元請から「次の案件は許可がないと厳しい」と言われたが、何から手を付けていいか分からない
- 専任技術者や経営業務の管理責任者の要件をネットで調べてみたものの、うちの会社に当てはまるのか自信がない
- 決算書類や工事経歴を見直さないといけないのは分かっているが、経理や事務担当が手一杯
- 金融機関や信用保証協会に相談したい気持ちはあるものの、どんな資料を持っていけばいいか分からず足が重い
こうした不安を抱えたまま時間だけが過ぎると、「うちの規模で本当に建設業許可が必要なのか」「今のままでも何とか回っているし」と、判断が先送りになりがちです。
建設業許可や経営事項審査がなぜ今あらためて注目されているのか
建設業許可そのものは昔からある制度ですが、2026年前後のトレンドとして、あらためて重要度が増しているポイントがあります。
ひとつは、元請側や発注者側のコンプライアンス意識が高まっていることです。許可のない業者に工事を出すリスクを避けるため、書類での確認を求められる場面が増えています。
もうひとつは、公共工事だけでなく、民間工事でも経営事項審査の点数や財務内容を重視する動きが広がっていることです。
さらに、資金調達支援の現場でも、建設業許可や経営事項審査の状況は無視できません。
決算内容が整理され、事業年度終了届や経営事項審査をきちんと行っている会社は、金融機関から見ても「数字が追いやすい」「長く付き合えそう」と評価されやすくなります。
逆に、売上規模のわりに許可や経審が整っていない場合、融資の検討に時間がかかったり、条件面で不利になったりすることもあります。
この記事で分かること
この記事では、市川市周辺で建設業を営む事業者が、現場を止めずに一歩ずつ体制を整えていくための考え方を整理していきます。
建設業許可や経営事項審査は、一度で完璧にこなさなければいけないものではありません。
まずは全体像をつかみ、「今、自社がどこにいて、どこから手を付ければ現場を止めずに済むか」をイメージできるようになることがスタートです。
第2章 市川市の現場でよくある建設業許可と経営事項審査のつまずきパターンを知る
新規許可取得のつもりが要件不足で時間だけ過ぎていく
建設業許可を初めて取ろうとする会社で多いのが、書類を集め始めてから
「あれ、うちって要件足りてないかもしれない」
と気付くパターンです。
よくあるのは、社長や役員の経歴、専任技術者の要件を何となくのイメージで判断してしまうケースです。
役員や専任技術者の経歴要件を勘違いしているパターン
例えば、次のような勘違いが起きがちです。
- 前の会社で現場をずっと任されていたから、専任技術者になれるはずだと思っていた
- 個人事業の時代も含めれば年数は足りるだろうと考えていた
- 資格がない分は経験でカバーできると聞いたので、細かい確認をしていなかった
ところが、いざ申請書を作る段階になって、
「いつからいつまでどの会社に在籍していたのか」
「どの工事をどの立場で担当していたのか」
を証明する資料が求められます。
このタイミングで源泉徴収票や社会保険の記録、工事契約書などを慌てて探し始めると、どうしても時間がかかります。
元請に「来月から許可取得を前提に動きたい」と言われていたのに、準備不足でずるずると後ろ倒しになってしまうこともあります。
元請から急かされて準備が追いつかないパターン
もう一つ多いのが、元請からの一言で一気に動き出すパターンです。
「次の工期からは許可を持っている会社にお願いしたいので、申請お願いします」
こんな連絡が来ると、どうしても焦ります。
社内で担当を決め、書類集めを始めるものの、日々の現場も止まりません。
- 必要な資料の一覧を作る前に、とりあえず手元にあるものからコピーを取り始める
- 役員や専任技術者の証明書類が足りないまま、申請書だけ先に書こうとする
- 税理士や社会保険労務士への確認が後回しになり、結局スケジュールが詰まってしまう
結果として、元請の期待していたタイミングに間に合わず、予定していた工事を見送らざるを得ないこともあります。
「もっと早く動いていれば」と感じる典型的な場面です。
更新や事業年度終了届を後回しにすると…
新規取得よりも見落とされがちなのが、更新と事業年度終了届です。
許可が一度取れてしまうと、どうしても安心してしまい、更新期限や決算後の手続きをカレンダーに入れないままになりがちです。
決算書と工事経歴の準備がギリギリになる流れ
決算が締まってから、税理士事務所とのやり取りや申告準備が始まります。
この時点で、建設業許可の事業年度終了届のことを忘れていると、次のような流れになりやすいです。
- 決算申告が終わった後で、ふと思い出して「そういえば事業年度終了届ってどうなってたっけ」と確認する
- 工事経歴書を作ろうとするが、完了工事の情報が現場ごとにバラバラに管理されていて、一覧にまとめるのに時間がかかる
- 提出期限が近づき、役所とのやり取りも慌ただしくなり、結果として書類の精度が落ちる
この状態が続くと、後から許可の更新や経営事項審査を受けようとしたときに、過去のデータが揃わず、余計な手間が増えてしまいます。
担当者任せでスケジュール管理があいまいな状況
社内に一人だけ「許可関係のことは全部あの人」という担当者がいる会社も多いと思います。
もちろん頼りになる存在なのですが、その人の頭の中だけでスケジュール管理をしていると、次のようなリスクがあります。
- 担当者が急な退職や休職になったときに、どこまで進んでいたか分からなくなる
- 担当者自身が忙しくなった時期に、更新や届出の優先順位が下がってしまう
- 経営者や現場責任者が、許可や経審のスケジュール感を共有できていない
結果として、「気付いたら期限目前」という状況になり、最悪の場合は更新が間に合わず、許可の空白期間が発生するおそれもあります。
経営事項審査の点数を軽く見ると入札で不利になる場合も
公共工事の受注を本格的に目指していない会社でも、経営事項審査の点数を軽く見ていると、思わぬところで不利になることがあります。
点数の内訳を誰も把握していないまま申請している状態
経営事項審査は、決算書の数字や技術職員数、工事成績などを総合的に点数化する仕組みです。
ところが実務では、
- 税理士事務所に決算書を作ってもらい、そのままの数字で申請している
- 評点表を見たことがなく、どこが強みでどこが弱みか社内で共有されていない
- 技術職員の資格や配置を、点数という観点で整理したことがない
といった状態のまま申請を続けている会社も少なくありません。
今後の受注戦略と点数設計が結び付いていない状態
本来であれば、
「どの規模帯の工事を安定的に受注していきたいのか」
「どのランクであれば元請や発注者から見て扱いやすいのか」
といった受注戦略と、経営事項審査の点数設計はセットで考えたいところです。
しかし、そこまで整理されていないと、
- せっかく公共工事の話が出ても、点数不足で希望する等級に届かない
- 将来的に元請から「もう少し上のランクを目指してほしい」と言われても、具体的な打ち手が見えない
という状況に陥りがちです。
資金調達や協力会社との関係に見えない影響が出るケース
建設業許可や経営事項審査でのつまずきは、単に役所との手続きだけで完結しません。
資金調達や協力会社との関係にも、じわじわと影響していきます。
売上は伸びているのに金融機関評価が追いつかない
ここ数年、売上や現場の数は順調に増えているのに、金融機関から見ると評価が伸びていない会社があります。
理由の一つが、決算書と建設業許可まわりの整理が追いついていないことです。
- 完成工事高や受注先の構成が、決算書だけでは分かりにくい
- 事業年度終了届や経営事項審査の資料が整っておらず、数字を確認するのに時間がかかる
- 社会保険の加入状況など、金融機関が気にするポイントの説明に手間取る
こうした状況は、融資が必ず否決されるという話ではありませんが、審査のスピードや条件に影響することがあります。
「もう少し整理されていれば、動きやすい会社なのに」と感じられてしまうのはもったいないところです。
許可や経審の状況が元請や取引先の安心感に直結
元請や大きな協力会社との関係でも、許可や経営事項審査の状況は重要な判断材料になります。
- 新しい元請から声がかかったものの、許可がないために継続的な取引につながらなかった
- ランクアップを期待されているが、点数の上げ方が分からず、話が進まない
- 社会保険や安全管理の体制について質問されたとき、即答できず不安を与えてしまった
市川市のように元請や発注者との距離が近い地域では、こうした印象の差が次の仕事につながるかどうかに影響します。
裏を返せば、建設業許可や経営事項審査を整えることは、単なる手続きではなく「選ばれやすい会社づくり」の一部でもあります。
第3章 関連制度の基本と2026年前後の動きを整理する
建設業許可の仕組みと市川市周辺での手続きの流れ
まず押さえておきたいのは、建設業許可は「どこで仕事をしているか」ではなく、「どんな工事をどれくらいの規模で請け負うか」によって必要かどうかが決まる制度だということです。
請負金額が一定額以上の工事を継続的に受注していくなら、いずれ許可が必須になります。
市川市の事業者でも、千葉県内だけでなく東京都内の元請から声がかかるケースが多いため、早めに許可を取っておくかどうかの判断は、今後の事業計画にも関わってきます。
許可区分と業種区分と営業所要件の基本
建設業許可には、大きく分けて次のようなポイントがあります。
- 一般建設業か特定建設業か
- 土木一式、建築一式、内装仕上、電気、管工事など、どの業種で許可を取るか
- どこを営業所として申請するか、その営業所に常勤の役員や専任技術者がいるか
特に営業所要件は、実務で見落とされがちなポイントです。
自宅兼事務所であれば、仕事内容にふさわしいスペースや設備があるか、名刺や請求書に記載されている住所と整合しているかなど、書面だけでなく実態も見られます。
市川市のように住宅地と事業所が混在している地域では、住所の使い方が曖昧なまま年数だけ重ねてしまっているケースもあるため、申請前に一度整理しておきたいところです。
千葉県知事許可と国土交通大臣許可の違い
中小規模の建設会社で多いのは千葉県知事許可ですが、将来的に都内の現場が増えたり、複数都道府県に営業所を置くようになれば、国土交通大臣許可も選択肢に入ってきます。
今すぐどちらが正解という話ではなく、今の仕事の取り方と、3年後、5年後にどうなっていたいか
を考えたうえで、どこかのタイミングで見直すイメージを持っておくことが大切です。
経営事項審査の基本構造と点数が意味するもの
経営事項審査は、公共工事を受注するためのいわば通信簿のような仕組みです。
ただ、その評価は単なる売上の大小ではなく、複数の観点から総合的に点数化されます。
経営状況や技術職員や工事成績などの評価項目
評価の柱をざっくり挙げると、次のようなイメージになります。
- 経営状況に関する指標
総資本や利益率、借入金の状況など、決算書の数字から算出される項目 - 技術職員や元請完成工事高などの経営規模に関する指標
有資格者の数や工事のボリュームを数値化したもの - 工事成績や社会性に関する指標
工事の評価、安全性、社会保険の加入状況など
これらが組み合わさって、最終的な総合評点として表に出てきます。
点数そのものも大事ですが、自社のどこが評価され、どこが伸ばしどころなのかを把握しておくことで、日々の経営判断がしやすくなります。
自社の強みをどこで点数に変えられるか
例えば、長年同じメンバーで安定して現場を回している会社であれば、技術職員として資格取得を進めることで評価に反映させやすくなります。
また、安全管理や社会保険加入に力を入れている会社なら、その取組が工事成績や社会性の評価でプラスに働く可能性があります。
経営事項審査は、受けた瞬間がゴールではなく、毎年の経営と結びつけてじわじわ底上げしていくためのツールと捉えると、見え方が変わってきます。
事業年度終了届と入札参加資格申請のつながり
建設業許可を維持し、経営事項審査を受け、入札に参加するまでの流れは、本来一つの線でつながっています。
決算後の一連の流れ
決算が終わると、通常は次のような順番で作業が並びます。
- 税理士事務所と決算内容を確定させる
- 完成工事高や原価の内訳を整理する
- 建設業許可の事業年度終了届を作成し、提出する
- 経営事項審査の申請を行う
- 評点を受け取り、その結果をもとに入札参加資格申請を行う
ここがきちんと年中行事として回るようになると、許可、経審、入札のサイクルが整い、金融機関への説明もしやすくなります。
どの書類を誰がいつ準備するか
実務でつまずきやすいのは、どのタイミングで誰がどの書類を作るかが社内で決まっていないことです。
決算書は税理士、工事経歴は現場と事務、許可や経審の申請書は行政書士が担当、という分担が多いですが、それぞれの間で情報をつなぐ役割が不在だと、どうしても抜け漏れが出てきます。
ある程度の規模の会社であれば、経営者と事務担当者が一度腰を据えて流れを確認し、外部の専門家とも役割をはっきりさせておくと安心です。
電子申請の拡大や社会保険加入徹底など最近の傾向
2026年前後の動きとして、建設業許可や経営事項審査の世界でも、静かに環境が変わりつつあります。
書類中心からデータ中心へ
これまで紙が前提だった申請も、少しずつ電子申請が広がっています。
自治体や関係機関ごとに進み具合は違いますが、共通しているのは次のような方向性です。
- 事業者側も、決算データや工事情報を日頃から整理しておく必要が高まる
- 修正や差し替えがしやすくなる一方で、入力ミスがそのまま数字に反映されやすい
- 電子申請に対応している専門家かどうかが、手続きのスピードに影響する
紙ベースの感覚のまま取り組むと戸惑う場面も増えますが、うまく使えば、現場を止めずに手続きを進める助けにもなります。
社会保険未加入対策や働き方改革が審査に及ぼす影響
もう一つの流れとして、社会保険の加入や働き方改革、安全管理への取組が、経営事項審査や入札参加資格の評価に反映される傾向が強まっています。
簡単に言うと、
「安くて早いだけの会社よりも、人を大事にし、安全と法令順守をきちんと押さえた会社を評価する」
という方向に、舵が切られているということです。
中小建設業者にとっては「人件費や保険料をどう負担するか」という悩ましいテーマと結びつきますが、長い目で見ると、金融機関や元請からの信頼、採用のしやすさといった形で返ってくる部分もあります。
第4章 現場を止めないために今からできる建設業許可と資金調達まわりの整え方を具体化する
現状をシンプルに見える化する
最初にやるべきは、会社の現状を一枚で見える形にすることです。
作るのは、立派な資料じゃなくて大丈夫。A4一枚でも、Excelでも、メモでもいい。
大事なのは、社内の誰が見ても同じ理解になることです。
整理したい項目は、次のあたりです。
- 現在の許可の有無、許可業種、一般か特定か
- 更新期限と、次に必要な手続きの時期
- 役員の構成と、経営業務の管理責任者としての候補
- 専任技術者の候補と、資格や実務経験の根拠
- 営業所の所在地と、実態としての管理体制
これを見える化するだけで、
「今は新規なのか更新なのか」
「業種追加が必要なのか」
「専任技術者が足りているのか」
が一気に整理されます。
現在の許可一覧と更新時期を1枚にまとめる工夫
許可を持っている会社でも、「何の業種を取っていて、更新はいつで、次に何を出す必要があるか
」を把握しているのは経営者ひとり、ということがあります。
ここは、手続きの順番がはっきりしている分、形式化しやすいです。
- 許可番号
- 許可業種
- 許可の有効期限
- 次回の更新申請の目安時期
- 決算後の事業年度終了届の提出時期
この5点が一枚で見えるだけで、期限前に慌てる確率がガクッと下がります。
専任技術者候補の経歴や資格を早めに棚卸しする意味
新規取得でも業種追加でも、最終的に詰まるのはここが多いです。
専任技術者の要件は、満たしているかどうかだけでなく、証明できるかどうかが勝負です。
なので、候補者が決まった時点で、次を先に整理しておくとラクになります。
- 資格がある場合は、資格証や登録状況
- 経験でいく場合は、勤務先、在籍期間、担当工事の内容
- どの資料で証明するかの当たりを付ける
現場が忙しいと、経験の棚卸しは後回しになりがちです。
でも、ここが後ろ倒しになるほど、申請の全体が崩れます。
先にやる価値がある部分です。
一年のスケジュールに許可更新や経営事項審査を組み込む
建設業許可と経営事項審査が面倒に感じる理由の一つは、日常業務と別枠で突然やってくるからです。
これを年中行事に落とし込むと、体感の負担がかなり減ります。
決算月から逆算した申請タイミングのモデルケース
例えば、決算月を起点にして、ざっくり次のように逆算します。
- 決算月の翌月から2か月くらいで、工事経歴や完成工事高の整理を始める
- 税理士の決算確定に合わせて、事業年度終了届の材料をそろえる
- 経営事項審査を受けるなら、必要書類の作成スケジュールを先に押さえる
- 入札参加資格の更新時期があるなら、さらにその前段を確保する
こうしておくと、毎年同じタイミングで同じ作業が回るようになります。
現場が忙しくても、繰り返しの強みで乗り切れるようになります。
忙しい時期を避けて準備を前倒しするための社内ルールづくり
建設事業者は年度末や繁忙期に現場が重なりやすいもの。
そのタイミングで書類づくりをするのは、正直しんどい。
だから、最初から社内ルールとして「繁忙期の前に書類のタネを作っておく
」と決めておくと後がラクです。
- 工事が終わったら、工事名、金額、工期、発注者だけは必ず一覧に入れる
- 協力会社の請求書や契約書を、現場単位で整理しておく
- 資格者が新しく増えたら、資格証のコピーを決まった場所に保存する
これだけでも、決算後の工事経歴書づくりが一気にラクになります。
資金調達支援とあわせて財務内容を強くする視点を
許可や経営事項審査は、手続きだけの話に見えますが、実は資金調達と相性がいいテーマです。
なぜなら、どちらも「会社の実態を数字と資料で説明できる状態を作る」という点で目的が同じだからです。
建設業許可と創業融資や運転資金の相談を連動させる
例えば、創業融資や運転資金の相談をするとき、金融機関が見たいのは
「この会社はどんな工事を、どんな取引先で、どれくらい回しているのか」
という一連の流れです。
ここで、許可業種、完成工事高の推移、工事の受注先が整理されていると、説明が一気に通りやすくなります。
逆に、売上だけが大きくても、工事の中身が整理されていないと、審査側は確認に時間がかかります。
建設業許可の整備は、融資のための資料整備にも直結します。
ここは別々に考えないほうが得です。
経営事項審査の点数アップと金融機関評価アップを同時に狙う
経営事項審査の点数を上げるためにやることは、結果的に金融機関評価にもプラスに働くことが多いです。
例えば、次のような方向性です。
- 利益が残る体質にする
- 借入金の構成を整理し、返済計画を見える化する
- 社会保険加入や安全管理の体制を整える
- 技術者の資格取得を計画的に進める
点数のためだけにやるとしんどいですが、
「受注のため、資金繰りのため、人の確保のため」
と思えば、納得感はかなり増します。
身近な専門家と役割分担を決める
ここまで読んで、
なんかやること多いな
と思った方…大正解です。
だからこそ、全部を社内だけで抱え込まないほうがいい。
役割分担を決めるだけで、現場が止まりにくくなります。
社内担当者と行政書士や税理士の連携で漏れを防ぐ工夫
よくある分担の形としては、こんなイメージです。
- 税理士が決算書を確定させる
- 社内が工事情報や請求書、契約書の素材を集める
- 許可申請や事業年度終了届、経営事項審査の書類は行政書士が組み立てる
ポイントは、情報をつなぐ人を決めておくことです。
現場と事務と税理士と行政書士の間で、情報が散らばるのが一番のロスです。
小さな疑問を早めに相談できる窓口をつくるメリット
建設業許可の世界でよくある落とし穴は「これくらい大丈夫だろう」という、判断の積み重ねです。
- この工事はこの業種でいいのか
- 専任技術者の経験は足りているのか
- 事業年度終了届のこの数字の整合は取れているのか
こういう小さな疑問を、早めに投げられる窓口があるだけで、後戻りが減ります。
結果として、手続きの総量が減り、現場への影響も小さくなります。
第5章 市川市の建設会社がこれから一歩踏み出すための考え方と次の行動を整理する
トレンドに振り回されず自社のスタンスを決める
ここまで、建設業許可や経営事項審査、事業年度終了届、資金調達支援とのつながりまで見てきました。
情報量は多かったと思います。でも結局、いちばん大事なのはここです。
どんな仕事を、どんな形で、どんな規模感で続けたいのか。
市川市は、案件の種類が幅広い地域です。
住宅系もあれば、店舗、倉庫、公共工事の下請、設備系、内装系もある。
つまり、正解が一つじゃない。
だからこそ、周りの動きに振り回されるより、まず自社のスタンスを決めた方が早いです。
- 元請の一次下請で安定受注を狙うのか
- 地元密着で小回り重視でいくのか
- 公共工事に寄せていくのか
- 今は小規模でも、数年で規模を上げたいのか
この方向が決まれば、許可の取り方も、経営事項審査で狙う点数も、資金調達の組み立ても、全部が一本につながります。
何を伸ばしたい会社なのかを言葉にする
おすすめは、社内で一度だけでもいいので、言葉にしてみることです。
立派な経営理念じゃなくていいです。
例としては、こんなレベルで十分です。
- 地元でリフォームと小規模改修を安定して回したい
- 元請の信頼を取って、一次下請の枠を増やしたい
- 公共工事に入れるように、体制と点数を上げたい
言葉になると、やるべき手続きが「やらされ仕事」から「目的のための準備」に変わります。
この差は大きいです。
許可や経営事項審査の方向をそろえる
例えば、一次下請として長くやっていくなら、許可を持っているだけでなく、更新や事業年度終了届をきちんと回していることが信用になります。
公共工事に寄せるなら、経営事項審査の点数を上げるための仕込みが必要です。
資金調達を絡めるなら、決算の見せ方や説明資料の整備が効いてきます。
ここを「とりあえず許可だけ取る」にしてしまうと、後から必ずもう一回やり直すことになります。
遠回りに見えがちですが、最初からしっかり方向を決めた方が後々になってラクになります。
不安を書き出して優先順位をつける
次にやるのは、やることの優先順位付けです。
建設業許可も経営事項審査も、全部を一気に完璧にやろうとすると詰みます。
まずは、今ある不安をそのまま箇条書きにします。
正しい言葉に直さなくていいです。現場の言葉でいい。
- この業種の許可って本当に必要か
- 専任技術者にできる人がいるか不安
- 更新期限がいつか曖昧
- 決算後の届出が遅れがち
- 融資も相談したいが準備が面倒
書き出したら、次の二つに分けます。
今すぐ解決したいこと、少し先でもよいこと
今すぐ系は、現場が止まるリスクがあるものです。
- 元請から許可を求められている
- 更新期限が近い
- 事業年度終了届が未提出で次の手続きに影響が出そう
少し先でもよい系は、今すぐ止まらないけど、放置すると効いてくるものです。
- 経営事項審査の点数を上げたい
- 技術者の資格取得計画を立てたい
- 財務内容を強くしたい
この仕分けだけで、次の行動が決まります。
やることは多いけど、優先順位を付ければ現場は回ります。
自社完結と専門家に任せる部分の仕分け
もう一つの仕分けは、誰がやるかです。
社内でしか持てない情報は、社内で集めるしかありません。
工事情報、請求書、契約書、現場の体制、資格者の状況。ここは社内の領域です。
一方で、申請の組み立てや要件判断、整合性のチェックは、外部の専門家が得意な領域です。
ここを社内だけで抱えると、確認のために余計な時間が溶けます。
現場が止まらない会社ほど、役割分担が上手いです。
スキルというより、設計の問題です。
少しだけ時間を取って相談や情報収集
ここで大事なのは、いきなり大きく動こうとしないことです。
最初の一歩は、小さくていいです。
- 許可の状況を整理する
- 更新や決算後のスケジュールを確認する
- 専任技術者候補の経歴を棚卸しする
これだけでも、次の手が打てるようになります。
専門家から得られるもの
許可や経審は、ネットで調べれば情報は出ます。
でも現場で詰まるのは、「うちの場合はどうなの」という部分。
ここを早めに相談して潰すだけで、遠回りが減ります。
融資の相談でも同じです。
書類が揃ってから行くより、方向性が見えた段階で聞いた方が早いことが多いです。
実際に相談した会社の変化をイメージ
相談の価値は、申請が進むことだけではありません。
- 期限管理ができるようになる
- 社内の情報整理が進む
- 元請や金融機関への説明がスムーズになる
- 次の受注に向けた準備が前倒しになる
こういう変化が積み上がってこそ、「現場が止まりにくい会社」になります。
現場を守るために
建設業許可も経営事項審査も、短距離走ではなく長距離走です。
一回取って終わりではなく、毎年の決算と手続きのサイクルを回していくものです。
だから、完璧を目指すより、止まらずに回る仕組みを作る。
これがいちばん強いです。
今日こなした1件の工事と3年後、5年後の会社像をつないで考える
今日の現場を回すだけなら、許可も経審も後回しにできてしまいます。
でも、3年後、あるいは5年後になって
「少し上の案件を取りたい」
「安定受注に寄せたい」
「資金繰りに余裕を持ちたい」
と思うなら、今のうちに下地を作った方がラクです。
無理なく続けられる形で外部パートナーを活用
建設業許可や経審の手続きは、根性でやるものではありません。
現場が忙しいのは当たり前です。
その中で、許可更新や事業年度終了届、経営事項審査まで回すなら、仕組みと分担が必要です。
まずは、現状整理から。
次に、期限と担当を決める。
必要なら、資金調達支援まで含めて、数字と資料を整える。
この順番で進めれば、現場を止めずに、ちゃんと前に進めます。
建設業を続けていくなら、許可や経審は重荷ではなく、強力な武器にかわります。
【2026年以降の制度変更に関するご注意】
本記事では、建設業許可・経営事項審査の2026年以降の動向(電子申請拡大、社会保険・働き方改革の評価強化など)を取り上げていますが、これらは国土交通省の検討会で方向性が示されている段階の内容を含みます。
正式施行前の法改正や自治体運用により、今後内容が変更・追加される可能性があります。
最新の制度内容については、国土交通省HP・千葉県土木事務所・または専門家にご相談ください。
(参考:国土交通省「経営事項審査改正の方向性」)

