「建設業許可は取ったけどお金が足りない?」とび職に多い資金繰りの落とし穴と解決策【市川市対応】

「建設業許可は取ったけどお金が足りない?」とび職に多い資金繰りの落とし穴と解決策【市川市対応】

目次

建設業許可を取ったのに、なぜ資金が回らない?──現場のリアルに迫る

「やっと建設業許可を取れた。これで仕事が増える…はずだったのに、なぜかお金が回らない。」

これは市川市のあるとび職の若手経営者が、初めて面談でこぼした言葉です。
実際、許可を取得しても、現場に出る前に“お金の壁”にぶつかる建設業者は少なくありません。

特にとび職は、開業直後や少人数での運営が多く、資材や人件費の先払いが当たり前の世界。
しかも、工事は1〜2日で終わるのに、お金が入ってくるのは1〜2ヶ月後
この“スピードのギャップ”が、資金繰りに大きなひずみを生み出しています。

「資金繰りの不安」が行動のブレーキになる

「この現場、請けても大丈夫かな…」
「資材費が払えなかったらどうしよう」
「人を呼んでも入金まで持たないかもしれない」

こうした“お金の心配”が頭をよぎると、本来チャンスであるはずの仕事すら、リスクに感じてしまいます。
結果的に、受注の機会を逃す/設備投資を控える/従業員を雇えないなど、経営の足かせになってしまうのです。

「資金繰り=経営の血流」──でも制度は追いついていない

行政制度や金融機関の融資スキームは、「安定した企業」を前提に設計されています。
しかし実際のとび職のような業態は、工期が短く、単価も流動的で、現金化までが遅い

つまり、建設業許可を取ってスタートラインに立ったとしても、
その後の「資金繰り」という実務の壁に多くの経営者がつまずいているのが現状です。

このブログでは、特にとび職を中心とした建設業者に向けて、

  • なぜ資金が回らなくなるのか?
  • 他業種とどんな違いがあるのか?
  • 制度とのギャップをどう埋めるか?
  • 今すぐできる対策と支援策は?

といったリアルな疑問に寄り添いながら、
市川市で実践できる“資金繰りの処方箋”をお伝えしていきます。

次章では、実際の現場で起きている“資金繰りのあるある”をご紹介します。
読みながら、自社に重ねてイメージしていただければと思います。

とび職の資金繰り、なぜこんなにキツい?4つの典型パターン

「とび職の仕事は回転が早いから、むしろ稼げるはずじゃないの?」
そう思われがちですが、現実はまったく逆。
とび職は「早く仕事が終わるのに、お金はなかなか入らない」という構造的なジレンマを抱えています。

ここでは、とび業者の資金繰りを圧迫する“典型的な4つの壁”を紹介します。

①「最初に払って、あとで回収」──先行投資の負担が重い

とび職は、足場を組む・重機を入れるなど、工事の最初に登場する業種
だからこそ、資材(単管・クランプなど)やユニック車など、高額な設備を事前に用意する必要があります。

たとえば…

  • 初回現場のために資材を一括仕入れ
  • ユニック車をローンで購入
  • 倉庫を借りて保管体制を整備

こうした初期投資は、入金がない段階で発生するため、手元資金を一気に圧迫します。

②「1〜2日で終わる工事、でも支払いは60日後」

とび職の工期は非常に短く、早ければ1日で完了することもあります。
しかし、元請けからの入金は「末締め翌月末払い(30日)」「翌々月払い(60日)」が普通。

つまり、実働は1日、でもお金が入るのは2ヶ月後
この「仕事は早いのに、入金は遅い」というズレが、資金繰りを難しくしています。

特に、複数現場を掛け持ちしている時期は、支払いばかりが先行してキャッシュが枯渇することも珍しくありません。

③「下請け構造の中で、価格交渉できない」

とび職は多くの場合、大手ゼネコンや工務店の“下請け・孫請け”として組み込まれているため、単価交渉が難しい立場にあります。

  • 「もうちょっと値下げしてくれない?」
  • 「今回は応援ということで…」

こういった形で単価が調整されると、利益率はどんどん削られていきます
しかも、元請けの都合や天候次第で工期が伸びる・止まるというリスクも抱えています。

④「人に払うのは早い。自分がもらうのは遅い」

とび職の現場では、職人への日当払い(または外注)が一般的です。
そのため…

  • 現場が終わったその日に現金で支払い
  • 外注先へは翌週までに振込
  • しかし入金は翌月末

つまり、「払うのは早い、もらうのは遅い」という構図が続くと、いくら利益が出ていても資金ショートの危機が常にあります。

また、雨天などで工事が中止になっても、職人の日当だけは確保しなければならないというジレンマも。

🔍他業種との違い

業種資金繰りの特徴備考
電気工事材料費が高いが在庫型検収後入金、入金タイミングが読みやすい
内装仕上工期が長め、支払い期限も安定商業施設中心、事業者が強気に出やすい
解体工事粗利が高いが重機依存元請比率が比較的高い
とび工事工期短+支払い遅い+先払い多い資金ショートリスクが特に高い

次章では、こうした“構造的な資金繰りの壁”に対して、
制度側のルールや金融機関の考え方がどれだけ対応できているのか──そのギャップを掘り下げていきます。

許可制度・支払い期限・融資制度──制度が現場とズレる理由

「制度は整っているはずなのに、なぜ資金が足りなくなるのか?」

多くのとび職経営者が抱えるこの疑問には、“制度と現場のスピードのズレ”が関係しています。
この章では、建設業許可・支払い期限・金融制度の仕組みを、「とび職の現実」と照らし合わせながら解説します。

建設業許可:信頼は得られるが、資金調達には直結しない

建設業許可は、まさに建設業者の「信用の証」です。
市川市であっても、許可を取得することで公共工事や大手元請との取引が可能になります。

しかし――
許可を取ったからといって、すぐに金融機関が融資してくれるわけではありません

理由はシンプルで、「許可=売上」ではなく、「許可=機会の入り口」に過ぎないからです。

💡 現場のリアル

  • 銀行「今はまだ決算書がないですよね…」
  • 信金「過去の取引実績がもう少し欲しいですね」
  • 事業計画「数値に根拠が見えませんね」

こうして、せっかく許可を取っても、手元資金が足りず現場が回らないという矛盾が生じるのです。

支払い期限:建設業界特有の“入金の遅さ”が命取り

建設業界では、末締め翌月末払いや翌々月払いが一般的です。
とくにとび職のように工期が短い業種では、仕事が終わっても「請求→入金」まで1〜2ヶ月かかるのが常。

制度的にはこれを補う「前払金」や「出来高払い」の仕組みがありますが…

📌 現実のハードル

  • 元請けが前払いに消極的
  • 手続きが煩雑で、提出書類が多い
  • 小規模工事では対象外とされがち

つまり、制度はあるのに、現場で“機能していない”ケースが多いのです。

融資制度:創業融資や補助金はある、でも“スピード感”が合わない

日本政策金融公庫や信用保証協会による創業融資制度は、資金繰りに悩む事業者の味方です。
ですが…

実際のタイムライン

  • 面談調整 → 計画書作成 → 審査 → 着金
    → 最短でも3〜4週間かかる

一方で現場はこうです…

  • 「来週から現場が始まる」
  • 「職人への日当が足りない」
  • 「今すぐ資材を仕入れないと間に合わない」

このギャップが、“融資が間に合わない問題”を引き起こしているのです。

また、ファクタリングなどの手段もありますが、利用には注意が必要です(手数料や信頼リスク)。

制度の恩恵を“受けやすくする仕組み”が必要

では、制度が悪いのかというと、そうではありません。
むしろ大切なのは、制度を“使いやすくする環境”や“サポート体制”を整えることです。

たとえば…

  • 元請けへの「前払金申請」の代行支援
  • 金融機関向けの計画書作成サポート
  • 出来高払いに対応する契約スキームの導入

これらを通じて、制度を“現場にフィットさせる”ことが、今後のとび職経営者にとって重要なポイントになります。

手元資金を守る!“先回り型”資金繰り対策のすすめ

資金繰りの悩みは、「売上が足りないから」だけではありません。
実は多くの場合、“タイミングのズレ”が資金ショートの原因になっています。

では、とび職をはじめとする建設業者がこのズレを乗り越えるにはどうすればいいのか?
ここでは、「先回り型」の資金繰り対策を中心に、現場で実践しやすい方法を紹介します。

💰 1. 最低でも「2ヶ月分の固定支出」を先に確保しておく

とび職の場合、現金の支出は早く、入金は遅い。
このギャップに備えるには、人件費+資材費+事務費の2ヶ月分を現金で確保しておくのが鉄則です。

📌 具体的には…

  • 月に日当払いの職人3名:60万円
  • 資材費:約30万円
  • 倉庫代・車両費・通信費など:10万円
    → 最低でも100万円〜150万円のキャッシュを維持するのが理想です。

📂 2. 元請けとの交渉:前払金や出来高精算の選択肢を持つ

「支払い期限を短くしたい」と思っていても、交渉しなければ始まりません。
現場によっては“着工時に30%の前払金”や“週単位の出来高精算”が認められることもあります。

🔧 活用のコツ

  • 工事契約の初期段階で「資金計画書」を提出
  • 元請けに「前払金申請書」を正式に出す(事務代行も可)
  • 「天候リスクがあるので週ごとの出来高精算を希望」と理由を添える

🏦 3. 金融機関とのつながりを“平時”から作っておく

いざという時に借りやすくするには、「困っていない時」からの関係構築が重要です。

📌 できること

  • 地元信用金庫で口座開設・融資相談
  • 政策金融公庫の創業融資に早めに申し込む
  • 商工会議所の「マル経融資」などを事前に調査しておく

🧾 4. 創業計画書・資金繰り表を“見える化”して常に確認

多くの現場経営者が、「頭の中では把握してる」つもりになっています。
でも実際は、支払いと入金のズレや、月末資金ショートの危険性を見逃していることがほとんどです。

📊 おすすめツール

  • 月別の「資金繰りカレンダー」
  • 案件ごとの「支出・入金予定表」
  • エクセル+クラウド保存(Googleスプレッドシート等)

✅ ポイントは「遅れて対応」ではなく「先に備える」

資金繰りは“後手”に回ると、どんどん苦しくなります。
とび職のように短期勝負の現場業種こそ、1〜2ヶ月先を見越した“先手の資金管理”が命綱です。

備えが信用に変わる──市川で建設業を続けるために今できること

「結局、資金繰りって“感覚”でやってちゃダメなんですよね。」
とある市川市のとび職社長が、初めて資金繰り表を作ったときに言ったひと言です。

事業を続けるうえで、お金は“燃料”であり“血液”のようなもの。
利益が出ていても、現金が尽きれば会社は止まります。
そして現場で働く職人たちを守るためにも、安定した資金管理は経営者の責任でもあります。

✅ これまでのポイントを振り返ると…

  • とび職は資材・人件費が先払い/入金は後払い
  • 工期が短く現金化までのギャップが資金繰りを圧迫
  • 「建設業許可を取れば安心」は制度的には正しくても、実務的には不十分
  • 支払い期限の交渉・前払金制度・融資制度は“使いこなす仕組み”がカギ
  • 2ヶ月分の現金保有+支援制度の活用+地元金融との連携がとくに重要

📍市川で建設業を続けるには「制度と現場の通訳」が必要

制度は整っている。
でもそれを“現場で使える形”にしてくれる人がいない。

このギャップを埋める存在として、申請手続きの支援だけでなく、資金繰りや経営改善までを一緒に考えられる専門家が、地域の建設業者にとって本当に必要とされています。

私は、自衛官として数々の災害現場でインフラの復旧を見てきました。
そこで実感したのは、復興の鍵を握るのはいつも“建設業の現場力”だということです。

でもその力が、今は資金面の不安や制度の煩雑さで弱ってしまっている。
だからこそ、行政実務と現場感覚をつなげる支援が必要だと思い、行政書士として活動を始めました。

現場で頑張る人の「安心して働ける環境」を整える。
それが、私の役割だと考えています。

📩 まずは“お金の見える化”から始めませんか?

  • 創業融資を受けたいけど、どこに相談していいかわからない
  • 前払金の交渉が苦手
  • 資金繰りが曖昧なままで不安

そんな方に向けて、当事務所では資金繰りや融資の相談支援も行っています。

✨まとめ:とび職の未来は「段取り」と「見通し」がつくれるかどうか

資金繰りは怖いものではありません。
正しく理解し、先回りして備えることで“経営の武器”になります。

建設業許可を取ったあとの本当のスタートラインに立った今、
必要なのは「稼げる体力」ではなく「持ちこたえる仕組み」です。

そしてその仕組みは、一人ではなく、信頼できるパートナーと一緒に作っていくもの
あなたの現場と未来に寄り添う行政書士として、全力でサポートします。