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なぜ今、「建設業許可」と「地域対応力」が問われるのか?
市川で現場を抱える建設業の皆さんにとって、「制度改正」ほど厄介で見過ごせない話題はないかもしれません。とくに今年に入ってから話題になっているのが、「盛土規制法」の本格運用です。
実はこの法律、熱海の土砂災害をきっかけに生まれたもので、5月25日までは旧制度の“猶予期間”が続いています。しかしそれも、もうすぐ終わり。つまり、これからは宅地造成や山間部の工事に限らず、一定規模の盛土をするには「事前許可」や「届出」が必須になるということです。
「ウチはそんな大規模なことしないから関係ないでしょ?」――そう考える方もいるかもしれません。でも実際には、市街地のちょっとした造成でも規制の対象になる可能性があります。とくに千葉県は、県独自の基準を条例で設けていて、「宅地造成区域」と「特定盛土区域」で許可要件を統一し、より厳格な運用を始めようとしています。
制度の壁を越えるには、“伴走者”が必要
こうした新制度にうまく対応するためには、単に法令を知っているだけでは不十分です。大切なのは、
- 現場で求められる対応スピード
- 自社の業態・規模にあった戦略的な書類づくり
- 土地や施工の特性に合わせたリスク把握
といった「実務の翻訳力」。実際、松野行政書士事務所では、こうした制度変更に対して“現場目線”での支援を行っています。
なぜなら代表自身が、災害派遣の最前線で28年にわたる経験を積み、制度と現場のズレを肌で感じてきたから。単なる申請代行ではなく、「制度の意図」を読み解いて、現場で役立つ書類を一緒につくること。それが、当事務所の信条です。
市川という“都市型エリア”で気をつけたいこと
市川市は都市部と自然が混在する地域です。盛土規制が強化される今、ちょっとした改修や宅地整備でも「申請が必要になるかもしれない」という認識を持つことが、トラブルを防ぐ第一歩です。
- 「昔からやってた」では通用しない
- 「うちは個人事業だから関係ない」は誤解
- 「下請けだから申請は元請け任せ」も危険
とくに市川のように住宅地に近い工事が多い地域では、今後ますます“説明責任”や“事前届出”が求められるようになるでしょう。
この章のポイントをもとに、次章では実際に「どんな現場で問題が起きやすいか」「どんな失敗がトラブルに発展するか」といった、リアルな事例を取り上げていきます。
現場でよくある「うっかり」が、大きなトラブルに
建設現場では日々さまざまな判断が求められます。「あれ?これって許可いるのかな…」「とりあえず進めとくか」――そんな些細な判断が、あとで大きな代償を招くことがあります。
たとえば、市川市であった相談事例。
「擁壁を直すために小型重機で土を移動しただけなのに、後から『無許可盛土にあたる可能性がある』と言われた」
「建売住宅のために造成工事をしたら、規制区域に入っていて『事前届出義務違反』の可能性が出てきた」
どちらも意図的な違反ではありません。むしろ「知らなかった」「いつも通りやっただけ」です。それでも、行政指導や報道、最悪の場合は刑事罰(最大3年以下の懲役 or 法人は3億円以下の罰金)に発展する可能性すらあるのです。
なぜこんなことが起きるのか?
背景には2つの要因があります。
① 法改正のスピードが早い
最近の制度は“静かに始まる”ことが多く、現場に情報が降りてこないままスタートすることもあります。今回の「盛土規制法」も、2024年の改正後、実施団体(都道府県・政令市・中核市)ごとに順次運用が始まり、市川市のような都市圏では全域が規制対象になることもあり得るのです。
② 「許可・届出」が必要なケースが増えている
以前は「宅地造成」の名がつく工事だけが対象でしたが、今は「危険性のある盛土等すべて」が対象。たとえ農地や山林であっても、指定区域内であれば届け出が必要になります。
とくに気をつけたい「現場あるある」
シチュエーション | リスク | 必要な対応 |
---|---|---|
住宅の建て替えで地盤を調整 | 規制区域内なら「切土」でも対象 | 工事前に区域確認+届出 |
空き地を駐車場に整備 | 土の移動だけでも規制対象に | 許可要否の事前確認 |
元請からの依頼で整地 | 下請でも違反の責任を問われる | 指示書・契約内容を確認 |
一見、軽微に見える作業でも、“区域内”であれば対象になる点が、建設現場にとっては大きな落とし穴です。
次章では、こうした制度の背景や「盛土規制法とは何か?」を、専門用語を使わずに分かりやすく解説していきます。
「盛土規制法」とは?建設業にどう影響するのか
法律というと小難しく感じるかもしれませんが、「盛土規制法」は現場を守るために生まれた制度です。きっかけは、2021年に静岡県熱海市で起きた土石流災害。無許可の盛土が原因で、尊い命が失われる大惨事となりました。
この教訓から、「全国どこでも、危険な盛土を防ごう」という方針でスタートしたのがこの法律です。
盛土規制法って、ざっくり言うと?
従来の「宅地造成等規制法(宅造法)」では、「住宅地での造成工事」だけが対象でしたが、盛土規制法では、山間部・農地・空き地なども含めて広く規制されるようになりました。
具体的には…
- 市街地など → 宅造区域
- 山林・農地など → 特盛区域
この2つの区域に分けて、区域内での盛土や切土に対して、許可または届出を義務付けるという仕組みです。
市川市を含む千葉県では、宅造区域と特盛区域の基準を統一して厳格化する方針で、今後の許可申請の難易度は実質的に上がっていきます。
「どのくらいの規模から申請が必要なのか?」
ここが一番気になるところですよね。
区域 | 許可が必要になる規模(例) |
---|---|
宅造区域 | 小規模な工事でも許可が必要(たとえば面積300㎡・高さ1m超の盛土など) |
特盛区域 | 比較的大きな工事に限り許可対象(面積500㎡・高さ2m超など) |
ですが、千葉県では特盛区域にも宅造区域と同等の基準を適用する方針があり、事実上「市川市の多くのエリアで、小規模工事でも事前確認が必要」となる見込みです。
現場にどう影響するのか?
- 「土地を少し整地するだけ」「高低差をならすだけ」でも事前確認が必須に
- 許可や届出を怠ると、3年以下の懲役 or 法人3億円以下の罰金の対象に
- 発注者や元請けだけでなく、実際に工事をする事業者(下請け)も責任を問われる可能性
つまり、これまで“なんとなく”やっていたことが、これからは明確に「違反」になるリスクがあるということです。
次章では、「じゃあ具体的にどう対応すればいいのか?」を、日々の業務に落とし込んだ形でご提案していきます。
「うちは関係ない」で済ませないために。建設業者が今やるべき3つの行動
制度の話を聞くと、「それって大手だけの話でしょ」「うちは小規模だし関係ないよ」と思ってしまう方も多いかもしれません。でも、盛土規制法や建設業許可制度は、“規模や職種に関係なく”全ての事業者に影響を与えるルールです。
ここでは、特に市川市で建設業を営む中小企業・個人事業主の皆さんに向けて、今すぐ始められる3つの行動指針をお伝えします。
① 工事前に「規制区域かどうか」を必ず確認する
これからの工事では、着手前に「その土地が規制区域に入っているか」を確認することが必須になります。
市川市を含む千葉県では、“ほぼ全域”が規制区域に指定される可能性が高いため、曖昧な判断はNG。
✅ おすすめ対応
- 千葉県の建設業関連マップ(※Web上で確認可能)で規制区域をチェック
- 不安がある場合は、事前に建設・不動産業課または行政書士に相談
② 「下請けだから関係ない」と思わない
元請が許可を取っていても、実際に工事をしたのが自社なら、無許可工事の責任が問われる可能性もあります。
とくに元請と下請の情報連携が曖昧な場合、「知らずに違反を犯していた」という事態も起こり得ます。
✅ おすすめ対応
- 工事指示書に「許可・届出の有無」や「区域情報」が明記されているか確認
- 工事内容の確認だけでなく、「土地と工事内容が制度上どう見られるか」を意識する
③ 専門家を“うまく使う”意識を持つ
行政書士などの専門家は「書類を作る人」ではなく、制度と現場をつなぐ“通訳者”です。
松野行政書士事務所では、制度のチェックに加え、補助金や融資支援のアドバイス、工事に伴う行政手続きのリスク管理などもトータルで対応。市川市の地元事情をふまえた提案も得意としています。
✅ おすすめ対応
- 自社の代表や工事責任者が「制度の全体像」を理解する機会を持つ
- 専門家とのスポット相談(Zoom・対面)で、判断に迷う工事を事前チェック
- 制度変更があるタイミングで、一度「許可・届出の棚卸し」をしてみる
制度は“敵”じゃない。現場の安心のために、いまできる一歩を
「また制度が変わるのか」「手続きがめんどくさいな」
そう感じるのは、あなただけではありません。多くの現場の方が、同じような戸惑いを抱えています。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
これまで制度によって守られてきた現場も、たくさんあります。
盛土規制法だって、誰かを縛るためのものではなく、命や暮らしを守るための“仕組み”です。
だからこそ、制度を“味方につける”視点が、これからの建設業には欠かせません。
「通りやすい書類」は、現場をよく知る人が作る
松野行政書士事務所では、許認可の書類を作るとき、まず現場の話を聞きます。
図面、工程、土の量、土地の形状――。机上の知識ではわからない“リアル”を理解したうえで、行政が納得できる形に整えていく。
それが、元自衛官として災害現場を支えてきた松野のやり方です。
ただ書類を作るだけでなく、「現場の実情」と「制度の要求」をつなぐ橋渡し役として、これからも地域に根ざした支援をしていきます。
最後に――やるべきことを“先送りしない”勇気を
建設業を営むうえで、制度や許可に無関心ではいられません。
でも、すべてを一人で抱え込む必要もありません。
「ちょっと心配な現場がある」
「来月の案件が規制にかかるかもしれない」
「今の許可内容が本当に合っているか不安」
そんな時は、どうぞ気軽にご相談ください。
市川市を拠点に、あなたの現場の力になれるよう準備を整えてお待ちしています。