【行政書士が解説】鉛製給水管問題と建設業への影響、知っておくべき対策とは?

【行政書士が解説】鉛製給水管問題と建設業への影響、知っておくべき対策とは?

あなたの現場にも関係がある?鉛製給水管の問題とは

「古い建物のリノベーション工事で給水管を交換したら、鉛製だった…!」
こんな経験、ありませんか?

鉛製給水管は1980年代後半まで全国で使用されていましたが、水に溶け出す鉛による健康リスクが問題視され、2004年に厚生労働省が「早期にゼロにする」との目標を掲げました。しかし、最新の調査(平成30年度末)では全国で約4,399kmが残存しており、多くの自治体や水道事業者が対応を迫られています。

建設業の現場では、リフォームや給水設備工事の際に鉛製給水管の撤去・交換が必要となるケースが増加中です。特に、水道事業者が敷設替え計画を持っていない場合、民間事業者が主導して対応しなければならない状況もあります。

この記事では、「鉛製給水管の実態」「建設業への影響」「今後の対応策」について、行政書士の視点から詳しく解説します。
建設業者の皆さんが今知っておくべきポイントを押さえていきましょう!

鉛製給水管の問題、現場ではどうなっている?建設業者が直面するリアルな課題

工事現場での「思わぬトラブル」

例えば、市川市内のあるリフォーム現場でこんなケースがありました。
築40年以上の戸建住宅の水回りリフォーム工事を請け負った設備業者が、古い給水管を調査したところ、なんと鉛製の給水管が使用されていたことが判明。
施主はもちろん「えっ、まだこんな管が使われていたんですか?」と驚愕。

しかし、水道事業者に問い合わせても「公道側の配管は問題ないが、宅内の配管は私有財産なので対応できません」との回答。
結果、設備業者が施主と交渉し、追加工事として給水管の交換を実施することになりました。

残存している鉛製給水管の実態

全国には4,399kmもの鉛製給水管が残存しており、毎年約290kmずつ撤去が進んでいます。しかし、このペースでは完全撤去まで15年以上かかる計算です。しかも、全国の水道事業者のうち敷設替え計画を持つ事業者は約47%のみ。このため、多くの自治体や事業者が対応を決めかねている状況です。

さらに、水道事業者が公道部分を交換しても、宅内(私有地)の給水管がそのままでは根本的な解決にはなりません。特に古い建物では「どこに鉛製管が使われているか分からない」ケースも多く、現場では慎重な調査と対応が求められます。

鉛製給水管のリスクと法的対応

鉛製給水管の健康リスクとは?

鉛は水に溶け出す性質があります。長期間摂取すると神経系への障害や発育への影響を及ぼす可能性があります。そのため、水質基準として「鉛濃度0.01mg/L以下」が定められています。

ただし、通常使用される状態では基準値以下であることがほとんどですが、長時間放置された場合や朝一番に使用される水では一時的に基準値を超える可能性があります。そのため、「朝一番は蛇口から数分間水を流す」など注意喚起されています。

建設業者が知っておくべき法律と規制

1.水道法と給水装置工事主任技術者制度

  • 水道法(第15条):水道事業者は、安全な飲料水を供給する責任を負います。
  • 給水装置工事主任技術者制度:宅地内(私有地)の給水設備工事は、有資格者による施工が義務付けられています。

つまり、建設業者が鉛製給水管を交換する場合でも、「適切な資格」を持つ技術者による施工が必要です。

2.建設業法との関係

  • 鉛製給水管交換工事は「管工事」に該当します。
  • 500万円以上(税込)の工事の場合、「管工事業」の建設業許可取得が必要です。
  • 公共工事の場合には「経営事項審査(経審)」も求められるケースがあります。

補助金や助成制度について

一部自治体では鉛製給水管交換への補助金制度があります。ただし、市川市や千葉県など地域ごとの制度内容は異なるため、詳細確認が必要です。国土交通省も2025年までには全国的な対応方針を策定予定ですので、新たな補助金制度にも注目しましょう。

建設業者が今すぐできる!具体的対策

  1. 現場調査を徹底する
    • 築年数(1980年代以前)や材質確認。
    • 鉛製管は柔らかく表面に傷をつけると銀色になります。
    • 水道事業者へ地域ごとの更新状況も確認。
  2. 施主との打ち合わせ強化
    • 健康リスクや交換メリット(安全性向上)を説明。
    • 補助金制度についても情報提供。
  3. 補助金・助成金情報を活用
    • 自治体ごとの補助金内容を確認し提案。
    • 行政書士による申請サポートも活用可能。
  4. 資格・許可要件を確認
    • 管工事業許可や給水装置工事主任技術者資格保有状況をチェック。
    • 必要なら提携先業者との協力体制構築。

まとめと結論

🔹この記事で押さえたポイント
✅鉛製給水管は全国で約4,399km残存し完全撤去には15年以上かかる見込み。
✅建設現場でも古い建物で発見されるケース多数。
✅500万円以上の場合「管工事業」の許可取得必要。
✅自治体による補助金制度活用可能性あり。

🔹今すぐ取るべきアクション
💡【1】現場調査と施主説明を徹底する
💡【2】補助金情報収集と提案強化
💡【3】資格・許可要件確認

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