目次
足場板の盗難が増えている現状を整理する
足場板の盗難が増えている
建設業界では、足場板や単管パイプなどの金属資材が盗まれる事案が増えていると報道されています。
警察庁の発表では、足場板の盗難件数が2020年と比べて倍増しているとされており、業界全体で警戒を促す動きが強まっています。
国土交通省も建設業団体に対し、盗難防止対策の強化を求める通知を出しています。
現場に与える影響は小さくない
足場板は多くの現場で必ず使う資材であるため、盗難に遭うと工事が遅れてしまう可能性があります。
資材の再調達や外注先との調整が必要になり、現場の負担が大きくなることがあります。
追加コストだけでなく、スケジュールの見直しや施主への説明など、目に見えない負担が発生しやすい点も無視できません。
経営者にとっても他人事ではない
資材の盗難は、現場だけでなく会社経営にも影響を与えます。
足場板は中古でも一定の価値があるため、まとまった数量が盗まれると数十万円規模の損失になることがあります。さらに、工程遅延が広がれば信頼関係にも影響を及ぼしかねません。
経営事項審査を受けている会社の場合、安全管理の取り組みとしても気を配る必要があります。
防犯が手薄になりやすい事情がある
多くの現場や資材置場は夜間や休日に無人となり、どうしても防犯が弱くなりがちです。
鍵をかけていても、照明が少ない、フェンスが低い、監視カメラがないといった環境では侵入されやすくなります。業務の忙しさもあり、防犯対策が後回しになってしまうケースも珍しくありません。
こうした背景から、足場板をはじめとする金属資材の盗難は、どの建設会社にも起こり得る問題だといえます。では、なぜ今になって盗難が増えているのでしょうか。
次の章では、報道や行政の発信内容をもとに、足場板が狙われやすい理由をわかりやすく整理していきます。
足場板が狙われる理由を整理する
金属価格の変動が影響している
足場板や単管パイプなどの金属資材は、金属価格の変動によって価値が変わります。
価格が上昇している時期は、中古品でも一定の金額で取引されやすく、盗難の対象になりやすい状況が生まれます。
報道でも、こうした金属製資材が狙われやすい点が指摘されています。
中古市場が存在している
建設資材の中古市場は一定の規模があり、状態の良いものであれば買い取られることがあります。この流通の広さが、盗難資材が紛れ込む可能性につながっています。
本来は、古物営業法や金属くず条例に基づく本人確認や帳簿記録が求められていますが、それでも盗品が完全に排除されるとは限らないため、国も注意喚起を行っています。
現場や置場が無人になる時間帯が長い
建設現場や資材置場は、夜間や休日に無人になる時間が多く、どうしても防犯が弱くなりやすい環境です。照明が十分でない置場や、道路から資材が見えやすい場所は、侵入されても気づきにくく、盗難のリスクが高くなります。
資材の運び出しが比較的容易である
足場板は重量がありますが、複数人で協力すれば短時間で運び出すことができます。
小型トラックや軽バンでも積載できることから、報道でも「短時間で持ち去られるケース」が問題視されています。運搬が容易である点も狙われやすさの一因とされています。
管理体制にばらつきがある
資材管理の方法は現場によって異なり、防犯対策が十分に整っていない場合もあります。鍵をかけていても、フェンスやカメラがない環境では、侵入を完全に防ぐことは難しい状況です。
現場の忙しさから、防犯対策が後回しになりがちな点も影響しています。
こうした複数の要因が重なり、足場板や金属資材が盗まれやすい状況が生まれています。特定の会社だけが狙われているわけではなく、業界全体として共通のリスクを抱えているといえます。
次の章では、国土交通省や警察庁が示す防犯対策をもとに、現場が取り入れやすい具体的な方法を整理していきます。
現場で実践しやすい防犯対策を整理する
施錠と管理の基本を徹底する
国土交通省は、盗難防止の第一歩として「確実な施錠」を挙げています。資材置場や倉庫の出入口はもちろん、フェンスの開閉部分や仮囲いも含めて、施錠ができる箇所は全て閉めることが重要です。
鍵の保管場所や誰が管理するかを明確にすることで、管理が曖昧になるのを防ぎやすくなります。
夜間の見回りや確認を取り入れる
定期的な見回りは、犯罪の抑止につながります。現場の規模によっては毎日は難しいかもしれませんが、夜間や休日の様子を確認するだけでも、侵入されにくい環境をつくる効果があります。
建設会社によっては、近隣の協力業者と情報共有し、地域全体での「見回り意識」を持つことで防犯効果を高めている例もあります。
防犯カメラや照明の設置を検討する
国土交通省も対策として推奨しているのが、防犯カメラと照明の設置です。明るい場所には侵入しにくくなるため、照明だけでも一定の抑止力があります。
コストを抑えたい場合は、センサーライトや簡易カメラなど、比較的安価な機材も増えています。録画機能があれば、万一の被害時に警察への情報提供にも役立ちます。
資材をまとめて保管し、散らばらないようにする
資材が広い範囲に置かれていると、どこに何があるか把握しづらくなり、盗難に気づくまで時間がかかる場合があります。足場板や単管パイプはできるだけ一か所にまとめ、整理された状態で保管することで、異変に気づきやすくなります。
また、盗まれやすい資材ほど奥側に置くなど、配置の工夫も効果があります。
不審者や不審車両の情報を記録する
国土交通省は、不審な人物や車両を見かけた際には迷わず警察へ通報するよう呼びかけています。普段から出入りする業者や車両の情報を簡単に記録しておくと、不審者の判別がしやすくなります。
番号を控えておく、近隣での異変を共有するなど、日常的な小さな対策が犯罪抑止につながります。
古物商や金属くず業者との連携も意識する
古物営業法や金属くず条例では、買い取り時の本人確認や帳簿記録が義務付けられています。警察庁も古物業者に対して「盗品の疑いがある場合は申告する」ことを求めています。
普段から信頼できる業者と取引し、疑わしい資材の持ち込みがあった場合に警察への連絡が行われやすい環境をつくることも大切です。
これらの対策は、どれか一つを行えば安心というものではありません。複数の対策を組み合わせて実施することで、盗難のリスクを下げる効果が高まります。
小さな工夫の積み重ねでも、防犯意識の高さは侵入抑止につながります。
次の章では、経営者として取り組みやすい体制づくりや、費用の考え方、社内で共有したいポイントをまとめていきます。
経営者として取り組みたい防犯体制づくり
防犯対策を「仕組み」として整える
盗難対策は現場任せにすると、どうしても対応にばらつきが出てしまいます。経営者として大切なのは、防犯を「個人の意識」ではなく「会社の仕組み」として位置付けることです。
たとえば、資材置場の鍵の管理方法、暗くなる時間帯の照明の稼働状況、監視カメラの点検タイミングなど、項目を一覧にして共有するだけでも体制が整いやすくなります。
小さなルールでも社内で共有する
現場のスタッフが毎日の業務で忙しい中、防犯はどうしても後回しになりがちな分野です。そのため「施錠の再確認」「資材をまとめて置く」「不審車両を見かけたら報告する」など、小さなルールでも社内で共有しておくことが大切です。
ルールが明文化されているだけで、現場で判断しやすくなり、結果として盗難の抑止につながります。
防犯設備の費用は「リスク回避のコスト」と考える
照明の追加、センサーライト、防犯カメラなどの設備は導入費用がかかりますが、盗難の発生を考えると十分に検討する価値があります。
足場板が十数枚盗まれれば数十万円の損害になることもありますので、防犯設備への投資はリスク回避のコストとして考えることができます。
最近は比較的安価で設置できる機器も増えているため、小規模な現場でも導入しやすくなっています。
地域の協力業者や関係先との情報共有を進める
盗難は一つの会社だけで対処するより、地域全体で警戒するほうが効果があります。
近隣の協力業者と「不審な車両がいた」「見慣れない人物を見かけた」などの情報を共有しておくと、注意すべきポイントが見えやすくなります。
また、古物商や金属くず業者との普段からのコミュニケーションも、盗品流通の抑止につながります。
従業員が気づいたことを気軽に共有できる雰囲気をつくる
防犯対策は現場の小さな気づきが非常に重要です。たとえば「最近照明が暗い気がする」「フェンスが少し歪んでいる」など、早い段階で気づけると対策もしやすくなります。
気づいたことをすぐに共有できる雰囲気をつくることで、小さな異変に早く対応でき、防犯効果が高まります。
外部専門家への相談も選択肢に入れる
建設業許可や経営事項審査を受けている会社の場合、防犯対策が安全管理体制の一部として評価につながることもあります。
必要に応じて行政や専門家に相談することで、費用対効果の高い方法を選びやすくなります。無理のない範囲で、できることから整える意識が大切です。
経営者として防犯体制を整えることは、現場の安全性だけでなく、信用や工程管理の安定にもつながります。すべてを一度に導入する必要はなく、できる部分から段階的に取り組むことで、確実にリスクを下げられます。
次の最終章では、全体のまとめと、読者が今日から取り組める行動のヒントを整理します。
今日からできる一歩を積み重ねて盗難リスクを減らす
足場板の盗難は特別な会社だけが狙われているわけではなく、どの建設会社にも起こり得るリスクです。
国土交通省や警察庁が注意喚起を行っていることからも、業界全体で対策を強める必要があることが分かります。
今回の内容を振り返ると、盗難被害の増加には金属価格の変動や中古市場の存在、現場の無人時間帯の長さなど、複数の背景があることが見えてきます。
ただし、防犯対策は大掛かりな設備投資だけが方法ではありません。施錠の徹底、照明の追加、小さなルールの共有、資材をまとめて置く工夫など、負担の少ない対策でも十分に効果があります。
現場の方が忙しい毎日の中でも、少しずつ積み重ねることで、盗難リスクを着実に下げることができます。
もし防犯設備の導入や管理体制の整備が必要であれば、費用対効果を考えながらできる範囲から進めることが大切です。
全てを一度に取り組む必要はなく、小さな改善を重ねながら会社全体として防犯意識を高めていくことが現実的です。地域の協力業者や取引先と情報を共有することも、警戒体制を強化するうえで役立ちます。
また、建設業許可や経営事項審査を受けている会社であれば、安全管理の取り組みを整備することは事業運営の安定にもつながります。必要に応じて行政や専門家に相談し、最適な方法を選ぶことも選択肢の一つです。
盗難対策は、会社の信頼や工程管理を守るための大事な取り組みです。今日できる小さな行動を一つ取り入れるだけでも、リスクは確実に下がります。できるところから少しずつ、防犯体制を見直してみてはいかがでしょうか。

