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現場に迫る変化、「ICT施工」の波に飲み込まれないために
「最近、現場でも“ICT施工”って言葉を耳にするようになったけど、自分たちの仕事には関係ないでしょ?」
そんな声を、市川市内の建設業者さんからよく聞きます。でも、国土交通省が動き出した今、その“関係ない”が“関係大あり”に変わる日が近づいています。
2027年度には、舗装工事と地盤改良工事で「ICT施工」が原則化される見通しになりました。しかも対象は、大手ゼネコンだけではありません。比較的小規模な現場にも拡大される方針です。つまり、市川や船橋、松戸といった首都圏周辺で地域密着で仕事をしてきた中小の職人さんたちにも、この波は確実に届きます。
「うちは昔ながらのやり方でやってきたから…」
「ICT機器なんて高そうだし、使いこなせない…」
そう感じるのは無理もありません。でも、ICT施工は決して“技術オタク向け”のものではなく、むしろ現場の負担を減らしてくれる仕組みでもあります。
一方で、ICT化に対応するためには、建設業許可の見直しや経営事項審査(経審)の評価アップ、そして新しい設備への投資に向けた資金調達など、「制度」や「お金」の話も避けては通れません。
このブログでは、市川市を拠点にする行政実務の専門家として、
「建設業許可」や「経審」「補助金」「資金調達」といった制度を
現場目線で、わかりやすく解説します。
この記事を通じて、あなたの現場が“時代遅れ”とならないよう、
「できることから一歩踏み出すヒント」をお届けできたら嬉しいです。
「ICT対応って言われても…」市川の現場で実際に起きていること
市川市で舗装業を営むA社。従業員10名弱の小規模ながら、地域の道路補修や駐車場整備などをコンスタントに請け負ってきました。しかし最近、公共工事の入札に参加しても「総合評価で点数が伸びない」という声が社長から聞かれるようになりました。
よくよく話を聞いてみると、原因の一つが“ICT施工”でした。
「面積が1万㎡以上の舗装工事では、ICT施工を希望すると加点対象になる」と聞いたものの、どこから手を付けていいか分からない。ドローンや3D測量の話が出ても、「うちの現場には関係ない」と思っていた。ところが最近では、ICT対応が“希望”ではなく“指定”になるケースが増え、「やらないと落とされる」時代が迫っているのです。
別の例では、市川市内で地盤改良工事を手がけるB社が、国の補助金申請に挑戦しようとしたところ、「経審の点数が足りない」と門前払いに…。話を聞けば、「施工実績はあるが帳簿が整っていない」「建設業経理士が社内にいない」「営業所技術者の証明が曖昧」など、制度面の整備が遅れていたのです。
いずれのケースにも共通するのは、「現場力はあるのに、制度対応でつまずいている」という点。
つまり、今求められているのは――
🔹 ICT化という変化に対応する力
🔹 建設業許可や経審など“見えない土台”の整備
🔹 設備投資に必要な“お金”の段取り
現場で汗を流す皆さんが本業に集中できるようにするためには、こうした“制度の橋渡し役”が必要なのかもしれません。
ICT施工と建設業許可制度、つながる“制度の壁”をやさしく解説
ICT施工の導入と聞くと、「うちはまだそんな大規模な現場は…」と思われる方も多いでしょう。でも実は、この波はすでに市川市をはじめとする地域密着型の業者にもじわじわと押し寄せています。
令和7年4月時点で、国交省はすでに土工・浚渫工にICT施工の原則適用を始めており、舗装工・地盤改良工についても、2027年度から原則化を目指して準備が進んでいます。これには、面積や金額の基準を緩和して、比較的小規模な現場も含める方針が明言されているのです。
たとえば…
- 舗装工事:面積1万㎡以上、予定価格3億円以上 → 今後は要件緩和
- 地盤改良工事:予定価格が一定以上なら数量問わずICT指定
これに伴い、以下のような制度面の“整備”が急務となります。
🔷 建設業許可の見直しと経審の強化
ICT施工に対応した機器や技術者を揃えるためには、経営基盤の強化が必要です。
その入口となるのが「建設業許可」と「経営事項審査(経審)」。
特に注目すべき点は…
- 経営業務の管理責任者(常勤役員等)の実務経験が求められる
- 営業所技術者の配置要件の厳格化(R6年改正で「専任技術者」から「営業所技術者」へ)
- 経審では「技術力」や「社会性」「財務内容」などを総合評価
これらを整えておかないと、補助金申請や公共工事入札の際に「参加すらできない」という壁にぶつかってしまいます。
🔷 ICT導入に活用できる補助金・資金調達支援
国や市では、ICT施工への移行を後押しする補助制度も整備されています。
具体的には…
- 中小企業デジタル化応援事業(都道府県・市区町村単位)
- 事業再構築補助金、ものづくり補助金 など
- 日本政策金融公庫などの「IT投資資金」
ただし、これらの制度を活用するためには「経審スコア」「直近決算」「許可更新履歴」などがチェックされるため、制度を味方にする“整備”が必要不可欠です。
「制度を味方にする」ために今できる、3つの具体アクション
ICT施工や制度変更と聞くと、つい「難しそう」と構えてしまいがち。でも、やるべきことを一歩ずつ整理すれば、今の事業規模でも無理なく対応できます。ここでは、市川市の中小建設業者が“今すぐ着手できる”具体的なアクションを3つご紹介します。
✅1. 自社の“制度対応度”を診断してみる
まず大事なのは「現状の把握」です。建設業許可の要件を満たしているか、経営業務の管理責任者や営業所技術者の登録状況はどうか、過去の経審スコアは最新か――。
💡ポイント
- 営業所技術者の「常勤性」を証明できる資料はあるか
- 経営業務の管理者に該当する役員・補佐人の略歴が整理されているか
- 工事経歴書・財務諸表などがすぐに出せる状態か
これらの確認を通じて、どこに弱点があるのかが見えてきます。
✅2. 補助金・融資制度を“現場目線”で選ぶ
「ICT施工に備えて機器を買いたい」「新しい作業員を採用したい」「経審アップのために体制を整えたい」――そんな場面で活用できる補助金・融資は、意外と多くあります。
🔹使える制度例(市川市周辺)
- 小規模事業者持続化補助金(設備・広報費対応)
- 日本政策金融公庫「IT導入資金」や「事業転換支援融資」
- 千葉県中小企業再構築支援資金
これらは、行政書類の整備と密接に関係するため、「制度のプロ」に相談するのが近道です。
✅3. “外部の力”を上手に借りる
制度対応や資金調達、ICT施工の研修など――すべてを自社だけで抱えるのは大変です。市川市や建設業関連の団体では、専門家によるアドバイザー制度も整備されています。
👷おすすめの相談先
- 市川商工会議所:補助金相談、ICT導入セミナー等
- 千葉県中小企業振興センター:制度対応アドバイザー派遣
- 技術事務所のICT研修:ICT建機の活用法を学べる現場体験型
加えて、建設業法や許可制度の実務支援を専門とする行政書士を活用することで、書類整備や審査対策の精度が一気に高まります。
時代の波に乗るか、取り残されるか。今こそ“小さな一歩”を
ICT施工の原則化、制度の変更、補助金や経審の見直し――。
市川市で日々現場に立つ皆さんにとって、こうした変化はどこか遠い話に思えるかもしれません。でも、実はすぐそこまで“影響”は来ており、「対応できるかどうか」が事業の明暗を分ける分岐点になりつつあります。
とはいえ、焦る必要はありません。
大事なのは、「正しい情報」と「信頼できる伴走者」を見つけること。そして、“今の自分たちにできること”から動き出すことです。
- ✅ 自社の制度対応力を見直す
- ✅ 利用できる補助金や支援制度を把握する
- ✅ 専門家の力を借りて準備を整える
こうした取り組みを進めることで、「現場力 × 制度対応力」=新たな競争力へとつながっていきます。
あなたの“これから”を、安心してつくっていけるように。
市川の片隅から、静かに力強く、支援してまいります。