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巨大地震が迫る時代、建設業の使命が変わる
ある日突然、街が飲み込まれる―。
6月3日、北海道が発表した被害想定は衝撃的でした。
最大で死者7,500人、全壊1万6,000棟超。特に稚内市では4,000人が津波で命を落とすという予測が公表され、日本海側の市町村に深刻な危機が迫っていることが明らかになりました。
こうした報道を見ると、「市川は大丈夫だろうか」と不安になる方も多いはず。
実際、千葉県も東京湾沿岸部において高潮・津波・液状化リスクが指摘されており、防災と建設業の関係は今や切り離せないテーマです。
「ただの申請屋」では足りない時代へ
建設業を営む皆さんが果たしている役割は、単なる工事ではありません。
・インフラの整備
・老朽化した住宅の再生
・そして災害復旧の最前線
――こうした公共的な使命を果たすためには、まず事業を続けることが何よりも大事。
その出発点となるのが、「建設業許可」や「経営事項審査(経審)」、「補助金や融資申請」といった制度対応です。
ところが、この制度がまた複雑で、現場の方にとっては「わかりにくい」「書類が多すぎる」「何から手をつければいいのかすら分からない」――そんな声を多く聞きます。
市川の現場から生まれたサポートの形
たとえば市川市。都心に近く、多くの中小建設業者が住宅・リフォーム・小規模土木に従事している地域です。
しかし、許可の更新漏れや、経審で評価が下がって入札に不利になるといったトラブルも少なくありません。
そんな中、建設業者さんの「よき相談相手」として注目されているのが、行政手続きと現場感覚の両方を理解している専門家の存在です。
私自身、阪神・淡路大震災の被災をきっかけに自衛隊に入り、20年以上にわたり災害現場に立ち会ってきました。その経験を通じて痛感したのが、「地域の復興は、建設業者の力なしには進まない」という現実です。
災害復興を支えるはずが…制度対応の“つまずき”が命取りに
災害が起きた時、最前線で街を建て直すのは誰でしょうか?
それは、地域に根ざした建設業者です。
実際、北海道が発表した巨大地震の被害想定でも、津波到達が「発生から5分以内」とされる市町村が複数ありました。
あの状況で最初に頼りにされるのが、地元の工務店・土建屋さん・解体業者さんたちなのです。
しかし――
その肝心の建設業者が、制度上「動けない状態」に陥っていたら?
建設業許可が切れていた」――それだけで工事ができない現実
市川で20年以上続くリフォーム会社A社も、まさにその“罠”にハマってしまいました。
ある元請けから突然、こう言われたのです。
「あれ…御社、建設業許可の有効期限、切れてません?」
そう、許可の更新を忘れていたのです。
災害時には臨時工事や復旧案件が一気に動き出します。
にもかかわらず、「無許可業者」扱いになれば、500万円以上の工事(建築一式なら1,500万円以上)を請けることはできません。
それは単なる“法令違反”ではなく、現場で誰かの命を救うチャンスを失うことに他なりません。
経審スコアの低さが、復旧工事の入札チャンスを奪う
さらに、復興に向けた公共工事に参加しようとしていたB社も、“経営事項審査(経審)”で評価が伸びずに落選。
「施工力では負けていないはず」――そう言う彼らでしたが、
- 経理書類にミス
- 社会保険未加入のまま
- 工事経歴が“自己流”表記
――これらが評価に響いていたのです。
制度は公平でも、対応の仕方次第で点数は大きく変わる。
その差が、災害復旧の現場での“選ばれる・選ばれない”に直結します。
「準備していれば取れた工事があった」と言わないために
こうした失敗例は、決して特別な話ではありません。
更新ミス、書類不備、制度の誤解…
これらは、日々の業務に追われる職人さんや中小建設業者にとって、起こりがちな“見落とし”です。
でも、それが災害時の出動機会の損失や、地域貢献の場を逃すことにつながっているとしたら?
制度対応は、“行政の仕事”のように見えますが、現場の未来を守るための備えでもあるのです。
「制度が敵」に見えるのはなぜか? 建設業許可と経審をやさしく整理
建設業界では、「制度が難しい」「書類がややこしい」「なんでこんなに細かいんだ?」という声をよく聞きます。
しかし一方で、制度を正しく使いこなすことができれば、取れる仕事が増える・融資が通りやすくなる・信頼が高まるなど、まさに“現場を支える武器”にもなるのです。
ここでは、混乱しやすい「建設業許可」と「経営事項審査(経審)」の基本を、最新の制度改正とあわせてやさしく整理します。
建設業許可は“名刺”であり“パスポート”
建設業許可は、「うちはきちんと法に基づいて営業しています」と証明する“名刺”のようなものです。
具体的には、次のようなメリットがあります。
- 元請業者や大手からの仕事を請けやすくなる
- 融資・補助金の申請で信頼されやすくなる
- 従業員や取引先の安心感が増す
- 将来的に法人化や事業承継の下地になる
ただし、「軽微な工事(例:税込500万円未満の請負工事)」を除き、許可がないとそもそも工事が請けられません。
経審は“公的な施工力のスコア表”
公共工事の元請けを目指すなら避けて通れないのが「経営事項審査(経審)」です。
経審は、建設業者の信用力や技術力を点数化する仕組みで、以下のような項目が評価対象になります。
評価項目 | 内容の例 |
---|---|
経営状況 | 売上や財務内容(自己資本、利益など) |
技術力 | 有資格者の数、工事経歴 |
社会性 | 保険加入、法令遵守など |
たとえば、市川市の小規模業者でも、
✅ 社会保険にしっかり加入
✅ 決算を適切に処理
✅ 工事実績を整理して提出
これだけでも点数が50~100点上がるケースがあります。
地味な作業ですが、それが公共案件の門を開く「カギ」になるのです。
制度改正で「技術者の定義」が変わった!
令和7年4月から、「専任技術者」という言い方が「営業所技術者」に変更され、以下のような制度上の影響があります。
- 技術者の配置要件が緩和された業種もある
- 一部の技術者が“兼任OK”になった(例:営業所+現場監理)
- BCP(事業継続計画)や災害時対応の評価項目が明示的に強化された
つまり、これからの建設業者には「災害時でも事業を続けられる体制」が求められているということ。
まさに、あなたの会社が“備えがある”と証明できるかどうかが評価対象になる時代です。
「わからない」まま放置しないために
正直、制度はややこしいです。毎年どこかしら改正も入ります。
でも、それを“敵”と感じるのではなく、「どうせなら味方にしてやろう」という視点で臨むことが大切です。
現場の経験が豊富な建設業者さんにこそ、
「書類仕事が苦手だから…」「忙しくて余裕がないから…」で機会損失をしてほしくありません。
書類に追われない建設業者になるために、今できる3つの準備
「忙しくて時間がない」
「目の前の工事が優先」
「申請は後回し」――
これ、建設業者の現場でよく聞く“リアルな本音”です。
でも、それが“取れるはずの仕事を逃す原因”になってしまってはもったいない。
ここでは、書類仕事に振り回されないために今からできる3つの準備を、補助金・資金調達支援も含めてご紹介します。
① 「許可・経審カレンダー」を手元に置く
まずおすすめしたいのが、年間の制度対応スケジュールを可視化すること。
許可の更新、経審の申請、決算後の届け出――これらは毎年ほぼ同じ時期に発生します。
たとえば…
- 建設業許可の更新:有効期限の満了30日前までに提出
- 経審の申請:公共工事を目指すなら毎年1回ペースが理想
- 事業年度終了届(決算変更届):決算から4ヶ月以内
これらを「うっかり忘れた」で損をするのは、自分たちです。
💡当事務所では、お客様者ごとに更新のスケジュール管理をきちんと行い、適切なタイミングで手続きのご案内ができるよう把握しています。
② 経審や資金調達に“強い会計”を味方につける
「うちは小規模だから」と思っていませんか?
市川には、年商3,000万〜1億未満の工務店や解体業者が多く、決して特殊な存在ではありません。
しかし、そうした小規模事業者こそ、会計処理の整備や財務書類の工夫が、
- 経審の点数UP
- 補助金の採択率UP
- 融資の審査通過率UP
に直結します。
補助金や融資の申請では、
「決算書のどこを見るか」「利益の出し方」「自己資本の考え方」など、“評価されやすい表現”に直すだけで大きく変わることも。
③ 市川の補助金・助成金を先回りでチェック
市川市や千葉県には、以下のような建設業向け支援制度があります(2025年6月現在)。
- 市川市「中小企業設備投資補助金」(中小建設業も対象)
- 千葉県「建設業BCP策定支援事業」(災害対策支援)
- 国交省「建設キャリアアップシステム導入補助金」など
こうした制度は、“申請受付が短期間”“知らないと終わってる”というケースも多く、補助金は「情報戦」です。
💡「実際どれが使えるのか?」を事前に見極めることができれば、設備投資や人材確保、BCP対策にもつなげられます。
「相談はまだ早い」なんてことはありません
よく「まだ会社が小さいので…」「こんなこと相談していいのか…」という声もあります。
でも、むしろ小さい今だからこそ、制度を味方につけておくべきです。
例えば…
- 来年に更新を控えている
- 経審は興味あるけど何をすればいいかわからない
- 許可を取ったけど次の一手が見えない
そんな状態でも全く問題ありません。
現場に寄り添った支援を前提に、一歩ずつ一緒に考えていけるパートナーでありたいと思っています。
建設業の未来を守るのは、あなた自身の“準備力”です
私たちは災害のニュースを見るたび、
「明日は我が身だ」と胸がざわつきます。
でも一方で、その復興の最前線に立つのは、あなたのような現場を担う建設業者であることも忘れてはいけません。
地域を守る――
それは、大げさな言葉ではなく、
「ちゃんとした許可を取って仕事を続けている」
「いざというときに動ける状態でいる」
そんな小さな日々の積み重ねの中に宿るものです。
今すぐ完璧じゃなくていい。でも、備えておこう
「忙しい」「わからない」「後でやる」――
建設業界では、それが命取りになることがあると、このブログでは何度もお伝えしました。
でも逆に言えば、
✅ 書類や制度の準備を少しずつでも進めておく
✅ 更新や経審のスケジュールを“知っておく”
✅ 必要なときに相談できる人を持っておく
この3つだけで、あなたの事業はグッと安定感を増し、信頼も広がります。
制度に詳しい“現場型サポーター”がそばにいます
行政書士というと、
「お堅い」「役所っぽい」「現場のことはわからなそう」
…そんなイメージを持たれがちです。
でも私は、
阪神・淡路大震災で被災したこと、
自衛官として災害現場に何度も立ち会ってきたこと、
そして今、地域の建設業者の支援者として現場の声を聞いていること――
これらの経験から、
「制度と現場の橋渡しをする仕事」こそが自分の役割だと考えています。
今なら間に合います
建設業許可の更新や、経審、資金調達――
気になった時点で行動できれば、大きな損失は避けられます。
「今なら、まだ間に合う」
それが、このブログを読んでくださっているあなたへのメッセージです。
まずは、相談で今の状況を“見える化”してみませんか?
堅苦しい手続きの話ではなく、「このままだとどうなるか?」「今何ができるか?」を一緒に整理する時間として、気軽にご利用いただけます。
最後に
あなたの仕事は、単なる“工事”ではなく、
地域を支える、誰かの暮らしを取り戻す、そんな尊い仕事です。
だからこそ、制度や書類に負けずに、あなたらしい仕事を続けてほしい。
そのために、私はここ市川で、実務に強い伴走者としてお力になります。
一歩、踏み出してみませんか?
あなたの事業の未来は、あなたの“準備力”で守れます。