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「最近、人が続かなくて…」――その悩み、制度とつながっているかもしれません
市川市で建設業を営む社長さんや現場監督の方から、最近よく耳にする言葉があります。
「いい人材が入らない」「ようやく入っても、すぐに辞めてしまう」。
原因は何でしょうか。単なる若手不足?給与の問題?――もちろんそれもありますが、もっと根本的なところで“見えない制度の壁”があることに、多くの方が気づいていません。
実はいま、国土交通省が進める「建設業法の改正」によって、“賃金の支払い方”が大きく変わろうとしています。
2024年12月(令和6年)から、技能者への労務費の「適正支払い」が義務化され、下請けであっても不当な価格で請け負っていたら是正される時代になります。
これまでは“現場でのやり取り”でなんとなく済んでいたことが、これからは「契約書」や「誓約書」「見積の内訳書」といった“見える化”が求められる時代になります。
言い換えれば――
「制度に対応できる会社だけが、生き残れる時代」が始まったということです。
でも、どうかご安心ください。
私たちのように、建設業許可や経営事項審査、融資支援を得意とする現場目線の支援者が、地域密着で伴走できる時代でもあります。
このブログでは、「制度対応って結局どうすればいいの?」という疑問を、市川市のリアルな現場や支援例を交えながら、わかりやすくご紹介していきます。
次章では、実際に多くの現場で起きている“人材流出”の背景にある問題をひも解きながら、変化の本質を見ていきましょう。
“ウチは関係ない”と思っていたら…職人が黙って辞めていった理由
ある市川市内の塗装業の社長さん。長年、地元の公共工事や民間住宅の塗装工事を請け負ってきたベテランです。
数年前から「若い職人が定着しない」「下請けが年々頼みにくくなった」と感じるようになり、相談に来られました。
ヒアリングをしてみると、現場の声と制度のギャップが浮き彫りになりました。
📌 「見積を安くしてくれ」が常態化
「長く付き合ってる元請さんから、“他社より2万下げられないか?”って言われると、断りづらくてね…」
この“2万円の値引き”が何を意味するか、ご存知でしょうか?
それは、実質的に技能者の労務費(=日給)が削られていることを意味します。
元請→下請→孫請と続く重層構造のなかで、真っ先に圧迫されるのが“職人の賃金”なのです。
📌 黙って辞めた若手職人の本音
実際にその塗装業者では、20代の若手職人が2年で3人退職しました。
1人の元職人と連絡が取れたとき、こんな一言を残しました。
「親方はいい人。でも、給料が上がらないし、他所の方が“ちゃんと”してる感じがしたんです。」
この“ちゃんと”という感覚。
実は、いま国が進めている建設業法改正の方向とピッタリ重なっています。
制度と現場のギャップが信頼を削る
・労務費の内訳が見えない
・契約書がなく、口頭でのやりとり
・請負金額の根拠が不透明
こういった状況が続くと、「この現場、将来性あるのかな?」と職人に不安を与えてしまいます。
そしていま、その“不安”を数値化・可視化する仕組みが国交省で整いつつあるのです。
次章では、その制度――すなわち「改正建設業法」「適正な労務費基準」「コミットメント条項」などの最新動向を、わかりやすく整理してお伝えします。
「12月までに準備が必要なこと」も明確にしますので、経営者・現場監督の皆さん、ぜひご一読ください。
2024年12月から何が変わる?「適正な賃金支払い」の義務化とその背景
令和6年12月、建設業界にとって大きな転換点がやってきます。
キーワードは「労務費の明示と賃金支払いの実効性」。これは、ただの“行政の方針”ではなく、職人の定着率・現場の信頼・経営の持続性に直結する重大なテーマです。
ここでは制度変更の概要と、何を準備すべきかをわかりやすく解説します。
✅ 新制度のポイント①労務費(人件費)の「基準」導入
これまでは“いくらで請け負うか”は自由でしたが、改正建設業法では、人件費(労務費)を著しく下回る見積りが禁止されます。
つまり「これだと職人の給料が出ないような金額ではダメ」というルールが設けられるのです。
✅ 新制度のポイント②「コミットメント条項」が契約書に登場
今後、公共工事・民間工事の標準請負契約書に、「適正な賃金を払います」という表明(コミットメント)を入れることが推奨されます。
これは強制ではありませんが、元請・下請の信頼関係や、公共案件の信用性にも影響を与える要素になってきます。
✅ 新制度のポイント③下請との契約内容を“見える化”
「下請に本当に払ってる?」を確認する仕組みも変わります。
・元請は下請との契約書のコピーを提出
・賃金台帳の代わりに“適正支払い誓約書”の提出
こうした書類の整備が、これまで曖昧だった“現場での取り決め”に透明性をもたらします。
✅ 新制度のポイント④技能者からの“通報システム”導入へ
さらに驚くべきは、国交省が「技能者本人からの情報提供システム」を立ち上げる方針を打ち出している点です。
「うちの現場、最低賃金より安いかも」「残業が多すぎる」など、技能者自身が給与や労働時間を入力するだけで、国が状況を把握できる仕組みが構築されつつあります。
令和7年度に運用体制が整い、令和8年度から試行開始予定です。
✅ 建設業者への“見えるインセンティブ”も開始へ
・処遇の良い事業者には「優良事業者証」
・悪質な業者は公表対象に
今後は、職人の処遇が良い会社ほど「選ばれる・残る」仕組みになっていきます。
補助金や経営事項審査への影響も、将来的には視野に入れておくべきでしょう。
👷 制度は「敵」ではなく「味方」にできる
ここまで見ると、「なんだか厳しくなったな…」と思う方もいるかもしれません。
でも実はこれは、「きちんとやってる会社が報われる仕組み」でもあります。
市川市のような地域密着型の建設業者こそ、「誠実に現場を守る姿勢」を制度と結びつけることで、信頼と人材を獲得できる時代になってきているのです。
次章では、実際に「何から始めればいいか?」を市川市での支援事例も交えてご紹介します。
労務費の“見える化”や補助金活用など、行動につながるヒントをお届けします。
“制度対応”は今すぐできる!市川の現場で進める3つの実践ステップ
「難しそうだな」「ウチにできるだろうか?」
そう思った方も、大丈夫です。実際に市川市で支援している建設業者さんたちも、ほんの小さな一歩から始めています。大事なのは、“先送りしない”ことです。
ここでは、制度対応と経営改善を同時に進めるための3つのステップをご紹介します。
🔹ステップ①「契約書」と「見積書」を見直してみる
まず最初に取り組んでいただきたいのが、請負契約書の有無と内容の確認です。
- 工事ごとに契約書を交わしていますか?
- 見積書には「労務費(人件費)」の項目が明示されていますか?
- 支払い時期・方法・支払先は明確ですか?
これらを整理するだけでも、「言った・言わない」トラブルを防げるうえに、制度対応としての信用度が大きく上がります。
📎 補足:コミットメント条項を入れた請負契約の雛形やチェックリストは、当事務所でもご提供可能です。
🔹ステップ②職人の“処遇”を「見える化」してみる
若手が定着しない理由の多くは、「この会社で将来どうなるのか見えないから」。
いまや、給与明細・技能資格・手当・労災保険など、職人の処遇を丁寧に見える化することが、信頼獲得の第一歩です。
具体的には――
- 賃金明細の書式をわかりやすく整える
- 有資格者に手当を明記する
- 保険・福利厚生の内容を紙で渡す
小さな見える化が、「ここで続けてみようかな」と思わせる力になります。
🔹ステップ③「地域制度」「補助金」をうまく使う
市川市や千葉県では、事業者向けの補助金や経営支援制度が多くあります。
たとえば――
- 建設業者向けのIT導入補助金(帳票電子化・給与ソフト導入など)
- 人材育成のための職業訓練助成制度
- 経営事項審査(経審)で有利になる処遇改善加点
これらは「制度対応」だけでなく、資金調達・人材確保にも直結します。
こうした制度を“点ではなく線”でつなぐと、大きな強みになるのです。
📎 補足:当事務所では、これら制度を活用した「段階的な顧問サポート」もご提案できます。
👣 「完璧」より「一歩」。“相談できる相手”を持つことが大切
「全部一人でやろう」とすると、必ず手が止まります。
大切なのは、困ったときにすぐ聞ける実務者を“近くに”置いておくこと。
行政の考え方、現場の空気、経営の数字。
これらを橋渡しできる人がそばにいるだけで、変化のスピードに柔軟に対応できるようになります。
次章では、このような変化の中で「どう行動するか?」に背中をそっと押すようなまとめとメッセージをお届けします。
「いい会社」って何だろう?制度を“味方につける”経営を市川から
建設業界では昔から「腕がすべて」「口約束でやってきた」という文化が根強くあります。
ですが、時代は確実に変わってきています。
「人が辞めていく会社」と「人が育って残る会社」――
その差は、技術力だけでなく、“見えるかたちで信頼を示せているか”どうかにあるのかもしれません。
💡 制度対応は、「現場を守るための盾」
今回の法改正は、“現場を縛るため”ではなく、“現場を守るため”のものです。
- 不透明な見積もりで泣きを見る下請けを減らす
- 給与の支払いを“証明”できるようにする
- 処遇の良い会社が選ばれる仕組みに変える
これはまさに、現場で頑張る親方や経営者を「守る制度」です。
今、ほんの一歩踏み出すことで、未来の人材と信頼を育てていける可能性があります。
行政書士という“裏方の相棒”として
私は、元自衛官として28年間、全国の被災地や行政現場を見てきました。
今は行政書士として、地域の建設業者の方々と向き合い、「制度」と「現場」の橋渡しを使命としています。
- 書類だけでなく、経営の筋道を一緒に考える
- 制度の裏側まで把握した“通る申請”を提案する
- どんな段階からでも相談できる“相棒”であること
それが私たちの仕事です。
📩 最初の一歩は、「話してみる」ことから
「とりあえず一度、話だけでもしてみたい」
そんな方には、30分のZoom相談など、無理のない方法をご用意しています。
👉 市川市・船橋・松戸などへの出張相談にも対応しています。
👉 ご希望があれば、許可取得・補助金・資金繰りまで、段階的にサポート可能です。
制度対応は「正解」を探すのではなく、“一緒に進める”ことが何より大切。
だからこそ、背負い込まずに、気軽にご相談ください。
✨まとめ
✅ 建設業法の改正で「賃金の見える化」が加速
✅ 「信頼される会社」の基準は、制度にも対応していること
✅ 市川市では、地元密着で実務支援できる行政書士がいます
✅ 最初の一歩は、「話してみる」ことから
この記事が、あなたと現場の未来にとって、小さな後押しになりますように。
私たちはいつでも、地域の一員としてそばにいます。