【行政書士が解説】建設業の価格転嫁とスライド条項運用の重要性

【行政書士が解説】建設業の価格転嫁とスライド条項運用の重要性

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物価高騰で困っていませんか?建設業のリアルな悩み

「資材価格が上がるたびに利益が圧迫される…」
「労務費の変動を請負価格に反映できない…」
近年、建設業界では物価上昇が深刻な問題となっています。特に、資材や労務費の高騰により、元請企業や下請企業の利益が削られ、経営の安定性が揺らいでいるのが現状です。

スライド条項の仕組みと運用基準の重要性

そんな中、発注者と受注者の間で価格調整を行うための仕組みとしてスライド条項があります。しかし、実際には「スライド条項の運用基準がない」「申請が難しい」といった理由で活用されていないケースが多く、受注者側が不利な状況に置かれることが少なくありません。

この記事では、建設業許可の専門家(行政書士)の視点から、スライド条項の仕組みと運用基準の重要性について解説します。

🔍この記事で分かること

✅スライド条項とは?建設業の価格転嫁ルールを理解する
✅運用基準がないと、なぜ価格転嫁が難しくなるのか?
✅行政書士がアドバイス!スライド条項を活用するためのポイント

「今後の価格変動に備えて、自社の利益を守る方法を知りたい」と考えている建設業の経営者や現場担当者の方は、ぜひ最後までお読みください!

建設業の現場で何が起きているのか?スライド条項未運用のリスク

📌価格転嫁できずに苦しむ建設業者たち

例えば、ある千葉県市川市の建設会社A社では、昨年から鉄筋やコンクリートの価格が30%以上上昇したにも関わらず、契約時の請負価格が据え置きのままでした。

その理由は…
• スライド条項の運用基準が市の発注案件に明確化されていない
• 価格上昇分を発注者に請求する方法が分からない
• 変更契約の申請が通らず、赤字工事になってしまう

結果、A社は利益が出ず、元請からの受注量を減らすことでコストを抑えるしかなくなりました。しかし、受注量が減ることで従業員の雇用が不安定になり、さらなる経営リスクが生じています。

このようなケースは決して珍しくありません。特に、スライド条項の運用基準が策定されていない自治体では、受注者側が不利な状況に置かれやすいのです。

🏢公共工事でも運用基準が未策定な自治体が多い

最新の調査(2024年7月時点)によると、市区町村のスライド条項運用基準の策定率は以下の通りです。

🔹単品スライド条項策定率が低い都道府県(下位5県)

都道府県策定率
長野県36.4%
和歌山県36.7%
群馬県37.1%
青森県37.9%
沖縄県39.0%

🔹インフレスライド条項策定率が低い都道府県(下位5県)

都道府県策定率
宮城県32.4%
長野県35.1%
沖縄県36.1%
和歌山県36.7%
青森県37.1%

このように、スライド条項の運用基準が定まっていない地域では、受注者側が価格変動を発注者に請求するのが非常に難しくなります。

一方で、新潟県などの策定率が85%以上の自治体では、スライド条項を活用した契約変更がスムーズに進められている例もあります。

⏳このままだとどうなる?未策定のリスク

❌工事の赤字化が進み、建設業者の経営が圧迫される
スライド条項の適用が認められないと、資材価格が高騰しても契約時の金額で工事を進める必要があり、赤字を避けることが難しくなります。

❌職人の賃金が上がらず、人手不足が加速する
労務費の変動を価格に転嫁できなければ、職人の賃金を上げることも難しくなり、結果として若手の建設業離れが進んでしまいます。

❌民間工事にも悪影響が波及する
公共工事でスライド条項が機能していないと、民間工事においても価格転嫁の文化が根付かず、「発注者が価格変動を考慮しない」状況が続いてしまいます。

行政書士が解説!スライド条項とは?価格転嫁の仕組みを理解する

📌そもそもスライド条項とは?

スライド条項とは、労務費や資材価格の変動があった際に、請負契約の金額を調整するためのルールです。

🔹スライド条項があるとどうなる?

✅資材価格や労務費の上昇分を適切に請求できる
✅急なコスト変動があっても利益を確保できる
✅発注者・受注者の双方にとって公平な契約ができる

公共工事では、国や自治体が発注する工事の請負契約において、受注者(建設会社)が不利益を被らないよう、価格変動に応じた変更契約を可能にする仕組みとしてスライド条項が存在します。

しかし、実際には「運用基準がないため適用されない」「発注者側がスライド条項の請求を受け付けない」などの問題があり、形骸化しているケースも多いのです。

📌単品スライドとインフレスライドの違い

スライド条項には大きく分けて「単品スライド」と「インフレスライド」の2種類があります。

🔹単品スライドとは?

特定の資材(例:鉄筋・コンクリート・アスファルトなど)の価格が一定割合以上上昇した場合に、契約金額を変更できる仕組み。

🔸適用条件
• 特定の資材が契約締結時から10%以上値上がりした場合
• 受注者が発注者に申請し、認められた場合

🔸メリット・デメリット
✅価格が上がった資材だけを対象に調整できるので、計算が明確
❌申請の手続きが煩雑で、発注者が認めないケースもある

🔹インフレスライドとは?

工事全体のコスト(労務費・資材費など)の総額が大幅に変動した場合に、契約金額を変更する仕組み。

🔸適用条件
• 物価全体が5%以上変動した場合
• 受注者が発注者に申請し、変更契約が認められた場合

🔸メリット・デメリット
✅労務費・資材費の変動をトータルで調整できる
❌変動率の算定方法が自治体ごとに異なり、申請が通りにくい

📌なぜスライド条項が機能しないのか?

スライド条項自体は法律で定められていますが、多くの自治体で具体的な運用基準が策定されていないため、適用されるケースが少ないのが現状です。

🚨運用基準がないと何が問題なのか?

❌受注者がスライド条項の申請をしても、発注者が「運用基準がない」として対応しない
❌価格上昇を受注者側で吸収するしかなくなり、利益が圧迫される
❌中小の建設業者ほど経営が厳しくなり、事業継続が困難になる

特に、市区町村レベルではスライド条項の運用基準策定率が低く、例えば長野県・宮城県・沖縄県では運用基準が策定されている市町村が4割未満というデータもあります。

発注者が適正な価格転嫁を受け入れるためには、「スライド条項の運用基準を策定し、明確なルールを設けること」が不可欠です。

📌行政書士ができること

💡スライド条項の申請サポート
行政書士として、建設業者の方がスライド条項を適用できるよう、以下のサポートが可能です。

✅スライド条項の申請書類作成
✅必要な証拠資料(資材価格の推移データなど)の準備
✅発注者との協議のためのアドバイス

「スライド条項を活用したいが、どうやって申請すればいいか分からない」という場合は、行政書士に相談することでスムーズに進められる可能性があります。

【実践編】建設業者がスライド条項を活用するための具体的なステップ

📌スライド条項を活用するために今すぐできること

「スライド条項を使いたいけど、何をすればいいのか分からない…」
そう思っている建設業者の方も多いはずです。

しかし、スライド条項は「知っているか、知らないか」で大きく結果が変わります。適切な手順を踏めば、コスト増を発注者に適正に転嫁し、利益を確保することが可能です。

ここでは、建設業法の専門家(行政書士)がスライド条項を実際に活用するための具体的なステップを解説します。

📌スライド条項を適用するための5つのステップ

①資材価格や労務費の変動を記録する

🔹まずは、契約時と比べて資材価格や労務費がどれだけ変動したのかを明確にすることが重要です。

🔹具体的に記録しておくべき情報
✅契約締結時の資材価格・労務費のデータ
✅直近の資材価格・労務費のデータ(仕入れ伝票や業界統計など)
✅価格変動率(契約時と比べて何%上昇したか)

📌ポイント
市区町村によっては、独自の物価指数を基に判断するケースもあるため、「どのデータを使うか」が重要です。

②スライド条項の適用条件を確認する

🔹単品スライドorインフレスライド、どちらが適用できるのか?
✅特定の資材の価格が10%以上上昇した場合→単品スライドを検討
✅全体のコスト(資材+労務費)が5%以上上昇した場合→インフレスライドを検討

📌ポイント
どちらのスライド条項が適用されるかを確認し、適切な方で申請を進めることが大切です。

③申請書類を作成する(行政書士に相談するとスムーズ)

🔹必要な書類
✅スライド条項適用申請書(自治体のフォーマットを確認)
✅価格変動の証拠資料(資材価格の推移データ、業界統計など)
✅変更後の請負代金計算書(どのように金額が変わるのかを明示)

📌ポイント
書類作成は行政書士に依頼することで、よりスムーズかつ確実に申請できる場合があります。

④発注者と協議する

🔹スライド条項を適用するためには、発注者との協議が不可欠!
✅提出前に発注者に事前相談をしておく
✅どのような基準で判断されるかを確認する
✅「スライド条項の運用基準がない」場合でも交渉できるケースがある

📌ポイント
「どうせ無理」と思わずに、まずは発注者に相談することが重要です。

⑤交渉が難航する場合は行政書士に相談

🔹こんなときはプロの力を活用!
✅発注者が「運用基準がない」として拒否してくる
✅書類の不備を理由に申請が通らない
✅過去にスライド条項の適用実績がない自治体の場合

📌ポイント
行政書士は、スライド条項の申請に関する専門知識を持っており、適用可能な法的根拠を示しながら発注者と交渉するサポートが可能です。

📌スライド条項を使わなかったらどうなる?リスクを理解しよう

❌受注者側の負担が増大し、赤字工事が増える
スライド条項が適用されなければ、資材価格や労務費が上がっても、契約時の金額で工事をしなければならないため、利益が削られます。

❌建設業者の倒産リスクが高まる
近年、物価高騰の影響で「物価高倒産」が増加しています。特に小規模な建設業者ほど影響が大きく、経営が成り立たなくなるリスクがあります。

❌公共工事の入札競争が過熱し、適正な価格での受注が困難に
スライド条項が機能しないと、建設業者は「入札で無理な価格設定をしないと仕事が取れない」状況に陥り、業界全体の利益率が低下します。

📌まとめ:スライド条項を上手に活用し、利益を守ろう!

✅スライド条項を適用するために必要なこと
1️⃣資材価格・労務費の変動を記録する
2️⃣単品スライドorインフレスライドの適用条件を確認
3️⃣必要な書類を準備し、スムーズに申請できるようにする
4️⃣発注者との協議を進め、適正な価格転嫁を目指す
5️⃣交渉が難航した場合は行政書士に相談する

📌今後、物価変動の影響を受けることを考えると、スライド条項の運用基準がある自治体での受注が有利になる可能性があります。

✅「スライド条項の申請をしたいけど、どう進めればいいか分からない」
✅「発注者との交渉をスムーズに進めたい」
そんな方は、ぜひ行政書士にご相談ください

【結論】スライド条項を活用し、建設業の未来を守ろう!

📌ここまでのまとめ

建設業界では、資材価格や労務費の高騰により、価格転嫁ができずに経営が圧迫される問題が深刻化しています。
その解決策の一つがスライド条項の適用です。

✅スライド条項とは?

労務費・資材費の変動に応じて契約金額を変更できる仕組み。

✅適用には何が必要?

• 資材価格・労務費の変動データの記録
• 適用条件の確認(単品スライドorインフレスライド)
• 発注者との協議と申請手続き

✅スライド条項が適用されないとどうなる?

• 赤字工事が増えて経営が厳しくなる
• 職人の賃金が上げられず、人手不足が深刻化
• 公共工事・民間工事ともに不利な契約が続く

特に、市区町村レベルではスライド条項の運用基準が整備されていないケースが多く、受注者が不利益を被る状況が続いています。

📌建設業者が今すぐ取るべきアクション

✅1.まずはスライド条項を活用できるか確認!

• 現在の契約内容をチェックし、スライド条項があるか確認
• 資材価格・労務費の変動を記録する

✅2.発注者との協議を進める!

• 契約変更の必要性を説明し、協議の場を持つ
• 過去の適用事例があれば参考にする

✅3.申請手続きは行政書士に相談!

スライド条項の申請には、法的知識と適切な書類作成が必要です。
「発注者との交渉が難しい」「どのように申請すればよいか分からない」という場合は、行政書士に相談することでスムーズに進めることができます。

🔹相談はこちらから

建設業許可・契約変更の専門家である松野行政書士事務所がサポートいたします。

📌スライド条項の活用が、建設業の未来を支える

物価変動が激しい今こそ、受注者が適正な利潤を確保できる仕組みを整えることが重要です。
スライド条項を上手に活用し、「利益を守る」→「従業員の雇用を安定させる」→「事業を成長させる」というサイクルを実現しましょう。
行政書士として、建設業者の皆さんの経営を支援し、地域の発展に貢献することが私の使命です!
スライド条項の活用でお悩みの方は、ぜひご相談ください!